2年ぶり対面開催…変わったもの、変わらないもの[ダボス・ウォッチ]
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草原の緑と青い空がまぶしい。
雪のないダボスに来るのは初めてだ。
例年1月にスイス東部ダボスで開かれてきた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)は今年、異例の5月開催となった。新型コロナウイルスの影響で、対面で総会が開かれるのは50周年を記念した2020年1月以来、約2年ぶり。今年も当初、1月に開催される予定だったが、感染拡大で5月に延期された。
ウクライナ情勢、コロナ対策

対面で再開といっても、コロナ前に戻ったわけではない。
世界の政財界トップが集まるダボス会議はもともと高度な警備態勢が敷かれてきたが、今回はコロナ対策が加わった。スイスはコロナによる制限を撤廃しているが、会議参加者はワクチン接種証明や直前の陰性証明が必要だ。ウクライナ情勢を受け、ロシア上空を回避する日本からのルートは時間がかかる。仙台から東京までの移動もあるため、万が一を考えて、ぎりぎりに検査を受けた。ひやひやものだ。
受け付け後もさらに会場で検査を受け、陽性なら会場内に入れなくなる。会場内には無料の検査施設が設けられ、マスクや検査キットも配布されるなど様々な対策が講じられている。
今回の参加人数は約2500人、期間中開かれるセッションも300を超える。規模は従来に近いが、前回のような展示などはあまりない。ダボスの目抜き通りに設置される参加企業のパビリオンなども、かつてのにぎわいはなく、関連イベントも限られている。少々寂しい気もする。
「実際に会ってこそ」の熱気

ただ、参加者の交流意欲は変わらない。むしろ、これまで以上に熱気があるかもしれない。
「オンラインでは伝わらない」「無駄話も重要なコミュニケーション」「実際に会ってこそわかりあえる」と、合言葉のようにあちこちで聞く。どこでも「待ちかねた」というエネルギーを感じる。22日夜に開かれた歓迎レセプションは多くの人であふれかえった。セッションの合間の交流も盛んだ。
いやいや、人のことばかりじゃない。自分もそうじゃないか。これまでも参加者との交流や話を楽しんできたが、今回は「このときを逃したくない」という気持ちが強い。コロナやウクライナ情勢など先行きが不透明なことも影響しているのか?もっといろいろ話したい、つながりたい……ああ、もっと名刺をたくさん持ってくるんだった。