派手さを欠く中で、見えてきた本質[ダボス・ウォッチ]
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世界の政財界トップらが集まる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)には、取材も含めて各国・地域から多くのメディア関係者もやってくる。「今回の会議、どう思う?」。約2年ぶりとなる対面での会議。再会した記者、初めて会う記者ともだいたいこの話になる。異例の5月開催、新型コロナウイルスやウクライナ情勢の影響……ネタには事欠かない。
「演出」が少ない分、テーマや内容に「集中できている」
共通する話題の一つは「大物の参加が少ない」ということだ。トランプ前米大統領らが参加した創設50周年の前回(2020年1月)の総会も含め、例年、各国首脳や世界トップ企業のリーダーらが大勢参加し、講演やセッションで持論や成果、公約などを披露する。関連するイベントもあり、なかなか華やかだ。大きなニュースが飛び出すこともある。
コロナ禍や直前の日程変更もあってか、今回はいわゆる大物は多くない。いつもより地味だね、という話になると、ある記者が「いやいや、これまでよりも今回の方がずっといい」という。なぜ?
「演出などがあまりなく、テーマや内容にもっと集中できている。派手ではないが、内容が濃い」
気候変動、感染症対策、食糧…地球規模の課題は「待ったなし」
なるほど。
気候変動や感染症対策、食糧問題、貧困対策、デジタル化など、世界経済フォーラムで取り上げる分野は幅広い。今回もいろいろのぞいてみた。コロナワクチンの供給の課題は何だったのか。デジタル化時代の人材を育成するには何が必要か。温暖化対策はどこまで進んだのか、何が足りないのか――。白熱した議論に引き込まれることも。技術や知識の学び直しや新たな習得を含めた人材開発・育成などの分野では、関係するセッションやイベントに足を運んでパネリストや関係者に話を聞いた。

「貧困や健康・教育問題、暴力など女性や子どもが置かれている状況はコロナ禍で一層厳しくなっている。こうした課題を忘れずに、継続して取り組まないといけない」
アフリカなど世界各地で女性のデジタル教育普及・エンジニア育成に取り組むマリエム・ジャムさんの言葉が耳に残った。

これまでも様々な議論や取り組みが行われてきた。しかし、自分はじっくり目を向けてきたのか。華やかさや話題性に流されてこなかったか……ぐるぐる考えながら話を聞いている。