参院選、代表なくして課税あり? 大盤振る舞いのツケは誰が払う

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政治部デスク 栗林喜高

 1775年から1783年のアメリカ独立戦争は、イギリス本国による不当な課税への反発が原動力の一つとなった。植民地の代表がいない英議会が決める税制に従う必要はないとして、「代表なくして課税なし」がスローガンとなった。

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公約に並ぶ給付や減税、低調な財源の裏付け議論

参院選候補者らの演説を聞く有権者(6月22日、東京都新宿区で。画像は一部修整しています)
参院選候補者らの演説を聞く有権者(6月22日、東京都新宿区で。画像は一部修整しています)

 参院選の舌戦を見ていて、この200年以上前の言葉が脳裏に浮かんだ。各党の公約には給付や減税などが並ぶが、裏付けとなる財源の議論は低調だ。財政健全化を語る党や候補者は少ない。読売新聞社が参院選立候補者に行ったアンケートでは、財政出動と財政再建のどちらを優先すべきかと聞いたところ、「どちらかといえば」を含め、「財政出動を優先すべきだ」が90%、「財政再建を優先すべきだ」が8%だった。将来世代からすれば、自分たちの代表がいない国会で決まった国債発行のツケを払うことになるのだから、「代表なくして課税あり」ということになるだろう。

 少子高齢化の影響で悪化を続けていた日本の財政は、新型コロナウイルス対策の多額の支出で拍車がかかった。さらに、今年に入ってロシアのウクライナ侵略や円安による物価高が日本を直撃すると、政府は緊急経済対策のために補正予算を編成し、赤字国債を追加で発行した。参院選で与党は、燃料油対策としての補助金支給など緊急経済対策の推進、野党は消費税やガソリン税の減税、国民への一律10万円の給付などを掲げる。ほかにも、社会保障の拡充や防衛費の増額など、歳出増をもたらす項目が並ぶ。やや大盤振る舞いの感が否めない。

 ただ、今の日本の財政状況からは、歳出を増やす余地は少ない。今年度の政府予算では、107兆5964億円の歳入のうち、税収は65兆2350億円に過ぎない。国債の新規発行、つまり国の借金で賄う額は歳入の3分の1を超える36兆9260億円に上り、今年度末の普通国債の残高は1026兆5000億円となる見込みとされた。これに、補正予算で2兆7009億円の赤字国債が積み増されている。

60年かけて返済される国債…東日本大震災の復興債は25年で

赤字国債や建設国債は、「60年償還ルール」に基づいて返済される
赤字国債や建設国債は、「60年償還ルール」に基づいて返済される

 赤字国債や建設国債は、「60年償還ルール」に基づいて返済されている。財務省発行の「債務管理リポート」に掲載されている例を見ると、国が10年で満期となる国債を600億円分発行した場合、10年後に6分の1の100億円を現金で償還し、残りの500億円は借換債という別の国債を発行して借り入れた資金で償還する。100億円の返済を10年ごとに繰り返し、60年後に最後の100億円を現金償還するという流れになっている。

 数少ない例外の一つが、2011年の東日本大震災の復興財源に充てるための復興債だ。復興財源法に基づき、25年で償還することとされた。償還資金に充てるために増税も行われた。当時の野田佳彦首相は2011年9月の臨時国会での所信表明演説で、「復旧・復興のための財源は、次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合うことが基本だ」と述べ、早期の償還を打ち出した。政府・与党は10年での償還を目指したが、与野党協議の末に25年で落ち着いた経緯がある。

今の有権者ができるのは…50年、60年先へ思いを致す

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3136270 0 Webコラム 2022/07/04 15:00:00 2022/07/04 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220630-OYT8I50016-T.jpg?type=thumbnail

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