「長生き」について想うこと…安心・豊かに・自分らしく

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編集委員 猪熊律子

長寿パワーに圧倒される一方、垣間見た厳しさ

 今回は、「長生き」にまつわる話を。

 1990年代初め、岩手県内に住む100歳以上の高齢者をインタビューして回ったことがある。24歳の時に始めた小さな旅館をホテルにして、今も経営や接客に気を配る104歳の女性や、自宅近くの自動販売機にたばこを買いに来た人の数を毎日数え、カレンダーに書き込む「ロード・ウォッチング」を6年以上続けている100歳の男性など。長寿パワーに圧倒される一方、子供より長く生きる状態を恥じる姿や、子供も年を取っていくがゆえの「老老介護」の厳しさも垣間見た。

長寿化が進む日本
長寿化が進む日本

 当時、日本全国の100歳以上の高齢者は約4000人。「長寿化は今後、大きな社会・地域の課題になるはずだ」との思いから始めたインタビュー企画だったが、その後の長寿化のスピードは目を見張るものがある。

 2021年の100歳以上の高齢者は約8万6000人。その9割が女性だ。

 女性といえば、2045年には、日本の総人口の2割を65歳以上の女性で占めると予測されている。「『おばあさんの世紀』がやってくる」という言葉で、このことを社会に知らしめたのは評論家の樋口恵子さんだ。家事、育児、介護、看病などの責任を負いがちな女性は就労が中断され、老後は貧困になりやすい。「おばあさんの世紀」が「BB(貧乏ばあさん)」ばかりなら日本の未来は暗いものになってしまう。「BB」を「HB(ハッピーばあさん)」に変える「BBB(貧乏ばあさん防止作戦)」に長年、取り組んでいるのが樋口さんだ。

 樋口さんはまた、90歳を目前にした今、「『ヨタヘロ期』を前向きに生きよう」と呼びかけている。「ピンピンコロリ」が老いの理想でも、体中が痛く、歩くのも大変な「ヨタヨタ、ヘロヘロ」が老いの現実。そうであっても、人生の最終コーナーをできるだけ楽しく、明るく暮らそうというわけだ。

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2879988 0 安心コンパス 2022/03/31 15:00:00 2022/03/31 15:26:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/03/20220329-OYT8I50003-T.jpg?type=thumbnail

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