「医療マンガ」生まれて半世紀…コロナ共存生活の中で今後の医療を思う

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編集委員 猪熊律子

 「コロナ」との共存生活も3年目。新型コロナウイルスの感染拡大により、改めて、医療がいかに私たちの生活に身近な存在であるか、科学技術や生命倫理なども絡んだ複雑なテーマであるかを感じた方も多いだろう。

起点は手塚治虫氏

 今回は、1冊の本を紹介したい。題名は『日本の医療マンガ50年史』(一般社団法人「日本グラフィック・メディスン協会」編、2021年、SCICUS<さいかす>)。約110点に上る「医療マンガ」を紹介しており、この本を読むと、改めて、医療の奥深さを実感する。

『日本の医療マンガ50年史』
『日本の医療マンガ50年史』

 「はじめに」に、「新型コロナウイルスが猛威をふるう2020年、日本のマンガの歴史は静かに『医療マンガ生誕50周年』を迎えました」とある。

 医療が登場するマンガは、もちろん、それ以前からあったわけだが、本書では、漫画家の手塚治虫氏が1970年に公表した『きりひと讃歌』を、「本格的な医療マンガ」の起点としている。

 また、「医療マンガ」に明確な定義はないようだが、本書では<1>医師および医療従事者が登場する<2>医療の専門職種や医療機関を舞台に設定している<3>「障・病・老・異(注:異は、性的アイデンティティーなど、人と異なること)」のテーマにおいて「生命」という普遍的な主題を扱っている――のいずれかに該当するものを「医療マンガ」として整理している。

「マンガの力で日本の医療をわかりやすく」

医療従事者と患者の円滑なコミュニケーションは欠かせない
医療従事者と患者の円滑なコミュニケーションは欠かせない

 編者の一般社団法人「日本グラフィック・メディスン協会」(協会代表=中垣恒太郎・専修大文学部教授)は、「マンガの力で日本の医療をわかりやすくする」をスローガンに、2018年に設立された。同協会代表理事の落合隆志さんによると「グラフィック・メディスン」は2007年にイギリスで提唱された概念で、マンガやコミックを活用して医療従事者と患者の円滑なコミュニケーションを図る取り組みをしている。これを受け、医学教育の現場でマンガを使ったり、患者がマンガを描くことで自分の気持ちや、現在抱えている問題を医療者と共有したりする実践がアメリカなどで展開されているという。

 「日本は世界でも比類ないマンガ文化と、『国民皆保険』による成熟した医療制度を持つ国です。マンガを通したコミュニケーションの推進により、より良い医療の発展に貢献したい」と落合さんは話す。

 本書は大きく4章に分かれている。第1章(1970年代~80年代)では、作品の概要と「医療マンガ」の観点からの解説が付いたレビュー作品が10点、第2章(1990年代~2000年代)では35点、第3章(2010年代~)では55点、第4章では海外の医療マンガ10点が紹介されている。

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3010320 0 安心コンパス 2022/05/19 15:00:00 2022/05/19 15:07:55 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220517-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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