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子どもの権利を擁護する独立組織設置は見送り
もっとも、子どもからの苦情などを調査し、子どもの権利が守られているかを監視・対応・提案・勧告する独立組織の設置は今回見送られた。こうした機関は、海外では「子どもコミッショナー」「子どもオンブズマン」「子どもオンブズパーソン」などと呼ばれる。日本財団公益事業部長の高橋恵里子さんによれば、子どもの権利擁護機関を設置している国は70以上に上り、(1)子どもの最善の利益を政策などに反映する(2)子どもたちの状況を調査し、改善の提案を行う(3)子どもの意見を聞き、子どもの社会への参画を促進する(4)子どもやその関係者からの苦情申し立てに対応して、必要な救済を提供する(5)子どもの権利に関する教育や意識啓発などを行う――などの活動をしている。子どもは選挙権を持たず、自分から意見を言える機会が少ない。そのため、「子どもの声を代弁し、調査・対応する機関が必要だ」(奥山さん、高橋さん)というわけだ。

こども基本法が作られる過程で、日本でも、子どもコミッショナーのような機関を整備するかどうかが焦点になった。必要性を主張する声もあったが、結局、導入は見送られ、今後の検討課題となった。見送りの背景には「子どもの意見や権利を重視しすぎだ」「誤った子ども中心主義になりかねず、家庭や地域の役割が低下する」という慎重論があったことが各種報道で伝えられている。下手に子どもに意見を表明する権利を与えると、「わがままになる」「勝手な主張を始める」といった懸念があったようだ。
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