菓子本体を超えて化けた「おまけ」のパワー

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編集委員 片山一弘

 コロナのいる日常は、とかく運動不足になりやすい。そのくせ仕事は忙しいので猛烈に肩が凝る。

「ビックリマンチョコ」を店頭に並べた途端、子供たちが群がった。「1人2点限りで販売制限するのが普通だ」と記事にはある=1988年(昭和63年)4月18日朝刊
「ビックリマンチョコ」を店頭に並べた途端、子供たちが群がった。「1人2点限りで販売制限するのが普通だ」と記事にはある=1988年(昭和63年)4月18日朝刊

 そういえば、と数年前に近所のコンビニで買ったきりのバランスボールが部屋の隅に積んであったことを思い出し、開封して膨らませてみた。テレビを見る間など、椅子代わりにただ座っているだけでも、いくらか肩や腰がほぐれた気がする。

 このボール、発売元は出版社の宝島社だ。ファッション誌にブランドバッグの付録をつける手法で成功した会社で、このバランスボールもパッケージにはISBNコード(書籍の分類コード)がついている。流通上の位置づけは、使い方を記した冊子が本体で、ボールが付録ということのようだ。しかし、筆者はボール目当てに購入した。他の人もたぶん同じだろう。

「仮面ライダーカード」に見る「主従逆転」現象

「仮面ライダー」カードは、子供のコレクター精神をくすぐる、よくできた仕組みだったが……=1972年(昭和47年)10月9日夕刊
「仮面ライダー」カードは、子供のコレクター精神をくすぐる、よくできた仕組みだったが……=1972年(昭和47年)10月9日夕刊

 このように本体とおまけの主従関係が逆転した商品は、特に子供向けのお菓子で、しばしばブームになってきた。

 56歳の筆者が思い出すのは仮面ライダーカードである。商品名は「仮面ライダースナック」だが、皆が欲しがったのは、おまけのカードの方だった。1972年10月9日の読売新聞夕刊に、これを社会問題として取り上げた<仮面ライダー 過熱の童心 カード集め、中身ポイ>という記事がある。

 <子供たちに爆発的な人気のあるテレビ番組の英雄「仮面ライダー」のカード集めが、東京都内の小学生、とくに低学年の男の子たちの間で、この夏休みごろから大流行している。最近はこの遊びがエスカレート、景品にこのカードをつけている菓子を一度に数袋も買い込み、菓子の方はそのままポイというケースがふえ始めた。>

 記事の中で、江東区の小学校近くの団地に住む主婦Aさん(34)は、こう証言している。

 <団地内を掃除している年配のオジさんがゴミ箱から封も切ってない菓子袋を拾い出しているのを見かけました。ヘンなこともあるものと思って続けて見ていましたら、なんと十六袋も出てきたのにはあぜんとしました。>

 64年生まれで72年に小学2年生だった筆者は、ブームの渦中にいた世代だ。今に続く特撮アクションドラマ、「仮面ライダー」シリーズ第1作の放送が始まったのが71年4月。男の子は土曜の夜はテレビにかじりついていた。

 カルビー製菓(現・カルビー)の公式サイトによると、仮面ライダースナックの発売も、この71年。店でスナックを1袋買うと、中が見えない袋に封入された名刺大のカードを1枚もらえる仕組みだった。

 カードの表には仮面ライダーや怪人の写真、裏にはそれぞれの情報が記されている。まれにあるラッキーカードを引き当てると、専用アルバムと交換できる。カードには通し番号がついていて、集めたカードを順番にアルバムに収めれば、何番が足りないかは一目瞭然。

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1515106 0 ちょっと前はどうだっけ? 2020/10/02 10:00:00 2020/10/02 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200930-OYT8I50052-T.jpg?type=thumbnail

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