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上野動物園のパンダに行列ができた。
年明け早々の1月12日。昨年生まれた双子のジャイアントパンダ、シャオシャオとレイレイの一般公開である。300倍以上の抽選に勝ち残った約1000人、それぞれの見学時間は約1分だが、満足度は高かったようで、SNSに喜びの報告をする人もいた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、公開したのは12日を含めて3日間にとどまったが、再開すればまた大勢の人が集まるに違いない。
半世紀前の大フィーバー

上野のパンダに行列といえば、50代後半の筆者が思い出すのは50年前、日本に初めてのパンダ、カンカンとランランがやってきた1972年(昭和47年)である。当時の初日はこんなものではなかった。72年11月6日朝刊社会面<パンダちゃん見たよ でも… 「3時間並んで30秒」>という記事に、前日の5日、上野の森の長い長い行列を本社ヘリから空撮した写真が載っている。徹夜組も出た。
<東京・上野動物園には、午後四時の閉門時刻までに五万六千人(同園調べ)もの家族連れなどが押しかけた。そのうちパンダの顔を見ることが出来たのは、入場制限もあって一万八千人。>
つまり残りの3万8000人はパンダを見ずに帰ったことになる(園内の他の動物は見たのだろうけれど)。それでも<この日の入園者は、予想の三分の一>。確かに5日朝刊には15万人以上という動物園側の予測が書いてある。実際には<初日の混雑を敬遠した人が多かったためらしい>という。
なかなかの修羅場だった
現場の様子も記されている。
<マイクが六秒おきに「立ち止まらないで、どんどん歩いて下さい」。ベルトコンベヤーにのせられたように仮パンダ舎の前にたどり着いたお客さんに、係員十人が、立ち止まろうとする人の肩を押し、大声で「さあ、前に進んでください」。声もエスカレートして「カメラの人も歩きながら写してください」。>
なかなかの修羅場だったようだ。

公開以前、2頭が上野動物園に到着した夜にも大勢の人が集まった。10月29日朝刊社会面<上野の山に“パンダ狂騒曲”>が、その様子を伝えている。
<動物園裏門前には、約二百五十人のファンがぎっしり。パンダの縫いぐるみをかかえた子どもや学校帰りの高校生、近くのホテルの泊まり客などが一時間も前から待っていたが、関係者以外はシャットアウトで「やっぱりダメか」。それでもパンダの乗ったトレーラーが着くと、期せずして拍手が起こった。その中に、“パンディスト”を自認する、女優の黒柳徹子さんも。>
来日した時点で、すでにパンダは大人気だった。