「お役所言葉」の、その先に

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社会部デスク 木下敦子

 「お役所言葉」という表現を最近、あまり聞かない気がする。これまでさんざん問題となってきたので、何を今さら、ということなのかもしれない。

 ただ、各地のお役所では、相手にきちんと意図を伝えたい、という努力を続けているようだ。それぞれに「手引き」なるものを作っている。

 たとえば、岐阜県中津川市の「『お役所言葉』改善の手引き」。「あいまいな表現やまわりくどい表現は、何が言いたいのかわかりにくく、伝えたいことが伝わらないおそれがあります」「法令用語、専門用語は市民にとってはなじみがなく、聞いてもさっぱりわかりません」と、なかなか潔い。そして、「前向きに検討します」といった、やるのかやらないのか分からない言葉はもう使わない、と宣言している。

 こうした流れからいくと、国はずいぶん遅れているようだ。

通知の多さが国会でも問題になった厚生労働省
通知の多さが国会でも問題になった厚生労働省

 今月初め、国会の参院予算委員会で、厚生労働省の「通知」の多さが問題になった。

 ここでいう通知とは、国から全国の自治体に一斉に出される<お願いごと>のことである。事務連絡ともいう。国から地方に何か伝えたいことがあった時、メールで「お願いしますね」と言える便利な慣習だ。だいたい、1回につきA4用紙で10枚前後。べつに法律で定められている連絡ルートではなく、「いつのまにか、全国すみずみまで確実に連絡する手段として定着した」(厚労省の担当者)という。

 こうしたお願いごとが、今年1月以降、新型コロナウイルスに関して、厚労省だけで実に863件(10月末まで)も出された。多い日は、何と1日に15件以上! 内閣官房の新型コロナの対策推進室が同期間に出した通知は合わせて53件というから、確かに厚労省は突出している。

 問題は数の多さだけではない。

 たとえば、「コロナ患者の搬送は、事前によく消防と相談して協力してもらうように」(5月27日)というだけでも、以下のようになる。

 《(感染症)法第21条の規定により、法第19条又は第20条に基づき入院する患者等(法第8条第1項による「疑似症患者」及び同条第3項による「無症状病原体保有者」を含む、以下同じ。)については、都道府県知事、保健所設置市長又は特別区長が感染症指定医療機関等へ移送することが可能となっている。この点につき(中略)、都道府県知事等から消防機関に対して移送協力の要請をするに当たっては、「エボラ出血熱患者の移送に係る保健所等に対する消防機関の協力について」に準じて、感染症患者の移送について都道府県等と消防機関との間で協定等を締結している場合には、その内容に従って移送協力の要請を行い、協定等を締結していない場合には、都道府県等が消防機関と事前に十分な協議を行った上で、移送協力の要請をしていただきますようお願いする》……。

 ここで、北海道富良野市の「カタカナことば お役所ことば見直しの手引き」の一節を紹介したい。

 「正確に、具体的に伝えようとしてすべてを盛り込もうとすると、だらだらと長くなり(中略)、相手も読む気がなくなってしまうでしょう」

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1639350 0 デスクの目~社会部 2020/11/20 15:00:00 2020/11/20 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201119-OYT8I50005-T.jpg?type=thumbnail

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