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「コロナ特例」はこんな所にも…ワクチン看護師争奪戦

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社会部デスク 木下敦子

 ルールというのは非常時に変わるものなのだなあ、と実感したできごとがあった。

 この前の日曜日(5月9日)、陸上自衛隊が実施した1件の入札は、なかなかすごい内容だった。「今すぐ看護師200人を集める」という仕事である。それも、8月までの約3か月間、朝から夜まで毎日200人。国が東京と大阪に設ける大規模会場で、新型コロナのワクチン注射をしてもらう看護師さんたちだ。東京都内の人材派遣会社が、約7億6000万円で落札した。

医療現場への看護師の「人材派遣」、条件付きで解禁

自衛隊が開設するワクチンの大規模接種会場について説明する中山泰秀・防衛副大臣(5月12日、防衛省で)
自衛隊が開設するワクチンの大規模接種会場について説明する中山泰秀・防衛副大臣(5月12日、防衛省で)

 何がすごいかというと、その規模もさることながら、<医療現場への看護師の人材派遣>がさくさくと進行していることに、ちょっと驚いた。というのも、ついこの間まで、医療の世界では、看護師の「人材派遣」は原則禁止されていたからだ。ここでいう人材派遣とは、労働者派遣法に基づく派遣のこと。今や派遣は社会の様々な場面で使われているため意外に思われるかもしれないが、今もいくつかの「聖域」がある。病院や診療所での医療関連業務は、その一つなのだ(=ワクチン接種会場は法律上、「診療所」の扱いになる)。

 なぜ、医療現場での派遣労働はNGなのか。「それは、医療というのは医師や看護師、その他の専門職が一つのチームとなって提供するものだからです」と、厚生労働省の担当者は言う。チーム医療では、互いの能力を知り、治療方針を確認して、連携して患者の治療にあたる必要がある。派遣会社に雇われ、時には日替わりでそれぞれの現場に出向く派遣労働というスタイルでは、チーム医療を提供するのは難しいだろう、というのがこれまでの国の考え方だった。

東京の大規模会場として使われる大手町合同庁舎3号館。老朽化が進んでおり、高齢者向けに急きょ、トイレのバリアフリー化などを進めるという(4月28日、東京都千代田区で)
東京の大規模会場として使われる大手町合同庁舎3号館。老朽化が進んでおり、高齢者向けに急きょ、トイレのバリアフリー化などを進めるという(4月28日、東京都千代田区で)

 それが、このコロナ禍で、ワクチン接種を担う看護師が全く足りない。看護師の資格を持っている人は社会の至るところにいるようだが、なかなか確保できない。そこで、人集めのノウハウを持つ派遣会社の力を借りることにした。「来年2月末までの期間限定」「ワクチン接種会場に限る」という条件付きで、タブーが破られたわけだ。その先頭を自衛隊が走っていたことに、驚かされたのだった。

日々、激しくなる看護師「争奪戦」

 自治体にとっても、看護師集めは切実な課題となっている。人口約2700人の北海道上砂川町では、早々に「看護師専門の人材派遣会社」に相談した。ちなみに医療機関への派遣がNGなのになぜこのような会社が存在するかというと、看護師という専門職は、医療現場以外でも、介護・福祉やツアー同行ナース、イベント会場の医務室など、社会のいろんなところにニーズがある。だから看護師専門の派遣会社は国内にいくつもある。

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2049458 0 デスクの目~社会部 2021/05/14 15:00:00 2021/05/24 08:47:36 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210513-OYT8I50004-T.jpg?type=thumbnail

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