帰ってきた『トップガン』 航空燃料のにおいと懐かしさ

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社会部デスク 高沢剛史

 圧倒的な戦闘機の存在感にジェット燃料のにおいをかいだ気がした。懐かしさも感じた。36年ぶりに帰ってきた映画「トップガン」の続編を見た感想である。

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 新作のタイトルは「トップガン マーヴェリック」。主人公はトム・クルーズが演じる米海軍のパイロットで、通称は「マーヴェリック(一匹 (おおかみ) )」だ。還暦近い年齢をものともせず、戦闘攻撃機「FA18」に乗り込み、仲間と共に秘密作戦に臨む。

思い出す米空母「ジョージ・ワシントン」での艦載機FA18の発着訓練

米空母「ジョージ・ワシントン」のカタパルトから射出される「FA18」(いずれも沖縄近海で、高沢剛史撮影)
米空母「ジョージ・ワシントン」のカタパルトから射出される「FA18」(いずれも沖縄近海で、高沢剛史撮影)

着艦するFA18
着艦するFA18

 ジェット燃料のにおいを思い出したのは、以前、沖縄近海を航行する米空母「ジョージ・ワシントン」の艦上で日米共同訓練を取材したときの光景が浮かんだからだ。甲板に出ると、艦載機の排気が混じった海風が吹き付けてくる。目の前には翼をたたんだFA18がぎっしりと並び、発着艦する機体のエンジン音が耳栓の上から容赦なく鼓膜を襲う。同艦が備える4基のカタパルトは、わずか3秒で艦載機を時速240キロに加速し、空中に射出する。

 クルーズは今作の撮影で臨場感を追求。実際に戦闘機に乗り込み、4~5回、空母の艦上から発進した。スクリーンでは、戦闘機同士のドッグファイトも展開された。戦闘機は旋回するとき体重の何倍もの重力加速度(G)がかかる。新作を見た航空自衛隊のパイロットは、「Gでゆがむマーヴェリックの表情は、実機に乗らなくては撮影できない」と感心していた。

第1作は米ソ冷戦真っただ中の1986年に公開

 懐かしさを感じたのは、1986年に公開された第1作を (ほう)彿(ふつ) とさせる仕掛けが随所に凝らされていたからだ。前作で登場したマーヴェリックの愛機は、ベトナム戦争の頃から運用されていた「F14」。トムキャットの愛称で親しまれてきた機体だが、米国ではすでに退役した。しかし、新作では再び姿を見せてくれる。

 バイクにまたがり、夕日を受けて離陸する戦闘機と疾走するマーヴェリック。トップガンを象徴するもう一つのシーンは、今回も健在だった。

 前作が公開された36年前、米国ではスペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故が発生。ソ連ではチェルノブイリ(現チョルノービリ)原発事故が起きた。まさに冷戦真っただ中の時代に、若きマーヴェリックは、仲間と共に空中戦の技量を磨き、困難を乗り越え、人間として成長していった。今作も戦闘機のアクションがハイライトであることに変わりはない。だが、それと同じくらい、年齢を重ねたマーヴェリックが人間としての深みを増していくさまが描かれ、物語を盛り上げていた。

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