「もはや『コロナ後』ではない」と言える日は…経済財政白書を読んで

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経済部デスク 松原知基

 漫画家・柴門ふみさんの代表作「あすなろ白書」は、女子大生を主人公に若者たちの恋愛、友情を描き、1993年にドラマ化されて大ヒットした。女優・石田ひかりさんの好演を覚えておられる方もいるだろう。

 同じく90年代に放映された、小田茜さん主演の「いちご白書」や、米国の「ビバリーヒルズ高校白書」などを見て、「白書」とは青春時代を描いたものだと当時は勘違いしていた。若者ならではの喜びや苦悩の「告白の書」かなと。

 もともとは官公庁が国内事情や政策を説明するための政府刊行物で、いたってお堅い文書だ。英国政府が作成する外交報告書の表紙が白かったこと(=white paper)に由来するという。

 内閣府は今月6日、2020年度の経済財政白書(年次経済財政報告)を公表した。経財白書は、1年間の景気動向や経済課題を分析したものだ。担当記者は分厚い冊子を読み込んで解説記事を書かねばならず、なかなか骨が折れる。

 今年の注目テーマは、もちろん新型コロナウイルス関連だ。感染拡大に伴って日本経済がいかに落ち込み、回復の過程にあるかを丁寧に説明している。その中でも、特に目を引いた分析があった。

 感染拡大を受けて外出する機会が減る一方、電子商取引(EC)の利用は全ての世代で増えたが、特に顕著だったのが高齢層だったという。1~7月の月額平均消費額は、世帯主が60歳代の世帯で1万3681円、70歳代以上で6661円。2万円を超える30~50歳代に比べて少ないものの、新たに利用する高齢層が増えたことで、全体のEC消費は大きく押し上げられた。

ネット通販大手の楽天が運営する「Ragri」(現・楽天ファーム)で取り寄せた有機野菜。電子商取引の利用はすべての世代で増えた
ネット通販大手の楽天が運営する「Ragri」(現・楽天ファーム)で取り寄せた有機野菜。電子商取引の利用はすべての世代で増えた

 気になるのは、今後のEC消費である。やむを得ずスマートフォンやパソコンで通販サイトから買い物をするようになった高齢層は、再びECから離れてしまうのか。この点で、白書は興味深い経済学用語を持ち出している。

 「履歴効果」(ヒステリシス効果)。一時的とみられた出来事が、その後も長期間にわたって人々の行動パターンに影響を及ぼすことを指す。新しい行動様式を身につけたことが「履歴」となり、その後も続く。

 現在、日本のEC普及率は4割程度にとどまる一方、欧米諸国では8割程度だ。白書では、高齢層の利用が増えたことなどをもとに将来試算を行い、「最近の動きが継続すれば、1年程度で8割の普及率が達成できる」とみている。

 「欧米に追い付け、追い越せ」の時代はとうの昔に去ったものの、なかなか大胆な予測と言える。白書は、ECの普及によって物流施設や効率的な受発注システムの整備が進むことに期待を寄せている。

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1634153 0 デスクの目~経済部 2020/11/18 15:00:00 2020/11/18 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201116-OYT8I50068-T.jpg?type=thumbnail

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