読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

今も続く効かないカンフル剤、そろそろ打ち止めに

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

経済部デスク 松原知基

 「ミスタープロ野球」と称された巨人軍・長嶋茂雄さんは、現役最後のシーズンとなった1974年、開幕から打撃が振るわず、チャンスで凡退を繰り返していた。川上哲治監督は6月19日の中日戦で、長嶋さんにカンフル剤を打った。

 打順「1番」での起用。長嶋さんと言えば「4番、サード」だったが、気分転換を図った監督のカンフル剤は見事に効き、攻守に輝きを取り戻した。長嶋さんの引退劇を描いた「長嶋茂雄 最後の日。1974.10.14」(鷲田康著、文芸春秋)にある。

「巨人軍は永久に不滅です」の名セリフを残した長嶋茂雄の引退セレモニー(1974年10月14日)
「巨人軍は永久に不滅です」の名セリフを残した長嶋茂雄の引退セレモニー(1974年10月14日)

 しかし、同書ではこうも振り返っている。「カンフル剤はあくまでカンフル剤でしかない。そのことを一番分かっていたのも、打席に立っている長嶋自身だったのである」。1番での出場機会が増え出した頃、長嶋さんの引退への覚悟は固まり始めたという。

 カンフル剤とは、苦境に陥った時に回復を図るための緊急手段。景気回復ペースが鈍り、政府から追加策を催促されていた10年前も、そんなつもりで使ってみたはずである。日本銀行は2010年12月、上場投資信託(ETF)の買い入れを始めた。

 要は複数の上場株を買うことであり、世界的に見ても異例の金融緩和策だった。価格変動のリスクがある資産を購入することによって金融市場を活性化させ、金回りを良くする狙いがあったが、ある種の「禁じ手」と言ってもよい。

 先月25日に日銀が公開した10年10月の金融政策決定会合の議事録には、買い入れ方針を決める議論の過程が描かれていた。160ページを超える議事録からは、当時の総裁、副総裁、審議委員ら計9人が、あくまでカンフル剤と考えていた様子がうかがえる。

 「常々候補として懐に入れていたものは株式の購入であり、(中略)時限的である必要がある」(須田美矢子審議委員)

 「異例の時限措置としてリスク性資産を含む多様な金融資産の買い入れを検討してはどうか」(宮尾龍蔵審議委員)

記者会見する白川方明・日銀総裁(2010年10月5日)
記者会見する白川方明・日銀総裁(2010年10月5日)

 金利の引き下げや国債の買い入れだけではデフレ脱却はできそうになく、異例の措置を支持する意見表明が続いた。白川方明(まさあき)総裁も「臨時、異例の措置」と念を押し、最終的に全員一致で決まった。

残り:1401文字/全文:2573文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
1815571 0 デスクの目~経済部 2021/02/03 15:00:00 2021/02/03 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210201-OYT8I50056-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)