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経済部デスク 松原知基

 東京モーターショーの前身、「全日本自動車ショウ」が初めて開かれたのは1954年4月。「十年の歩み」(日本自動車工業会発行)によると、東京・日比谷公園内にある進駐軍のハンドボール・グラウンドだった場所を借り、関係者が2日間徹夜して会場設営を行ったという。

開催前の1954年4月6日の読売新聞夕刊に掲載された広告
開催前の1954年4月6日の読売新聞夕刊に掲載された広告

 初回ということもあり、集客には苦労したようだ。「青い山脈」などで知られた歌手・藤山一郎氏らに出演してもらったほか、ダンスやコーラスを披露するステージも設けた。同書で「JAPAN AUTO TRAVEL CLUB」の永井義郎会長が振り返っている。

 「実をいうと自動車を見ている人よりここに集まる人の方が多く、当事者としては誠に気が気ではなかった。まだくるまは高根の花であった」

130万人を集めた前回の東京モーターショー(2019年10月24日)
130万人を集めた前回の東京モーターショー(2019年10月24日)

 出展された267台のうち乗用車はわずか17台で、トラックやバス、オートバイが多かった。来場者数は54万7000人。その後、自動車産業の飛躍的な発展とともに来場者数は100万人を超えるようになり、64年に「東京モーターショー」と改名。世界有数のモーターショーに成長していった。

 日本自動車工業会(自工会)が4月、今秋に予定していた東京モーターショーを中止すると発表した。新型コロナウイルス感染防止のため、昨年来、デトロイトやパリなど有力なモーターショーも中止に追い込まれている。やむを得ない措置とはいえ、2年に1度の祭典だけに何とも残念だ。

 自工会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は記者会見で、オンラインで開催することも検討したものの、体験の場としての価値を重視した結果、中止を決めたと説明した。前回2019年には130万人のファンを集めた人気イベントだけに、苦渋の決断だったろう。

 実は、東京モーターショーの「中止」は今回が初めてではない。毎年開催だった1973年に第20回を開いた直後、11月22日に自工会理事会は翌年の中止を決めた。75年に再開して以降は2年に1度の開催となり、現在に至っている。

 当時の「中止」の理由は主に二つ。一つは、第一次石油ショックに端を発する景気低迷だった。自動車産業も大きな打撃を受け、毎年のモーターショーで新型車を披露する余力は乏しかった。

 もう一つの理由は、もっと深刻だった。73年8月24日付の読売新聞朝刊は「東京モーターショー 来年から廃止か」との見出しで存続の危機に立っていることを取り上げ、こう報じている。

 「モーターショーが華やかな祭典となればなるほど、一方で光化学スモッグの主犯にあげられ、公害をまきちらす自動車に対する苦々しい『くたばれ自動車』意識も強まることも事実で……」

 大気汚染が社会問題になる中、排ガスを出す自動車への批判が強まり、業界にはかつてない逆風が吹いていた。近年は国内で光化学スモッグが問題になることが減ったため隔世の感があるが、通底しているものがある。クルマと環境問題の深い関係だ。

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2045365 0 デスクの目~経済部 2021/05/12 15:00:00 2021/05/12 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210510-OYT8I50041-T.jpg?type=thumbnail

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