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「脱戦後」から「脱炭素」へ…化学工業界出身の経団連会長

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経済部デスク 松原知基

 経団連の中西宏明会長(日立製作所相談役)が任期途中で退任することになった。リンパ腫を患っていた中西氏から「再々発の可能性が高まった」と辞任の意向が示されたという。これまで病と闘いながら重責に当たってこられたことに敬意を表したい。

次期経団連会長への就任が決まり、記者会見を行う十倉雅和氏(5月10日午後、東京都千代田区で)
次期経団連会長への就任が決まり、記者会見を行う十倉雅和氏(5月10日午後、東京都千代田区で)

 後任は、住友化学の十倉(とくら)雅和会長。経団連会長は「財界総理」とも称され、人物像とともに出身企業や業種が注目される。今回は電機大手・日立製作所から化学大手・住友化学への交代となった。

 住友化学は消費者向け商品がほとんどなく、「聞いたことはあるけど、どんな会社?」と疑問を持った方もいたかもしれない。ポリエチレンやポリプロピレン、各種の工業薬品など、産業に不可欠な化学製品のメーカーなのだが、イメージが湧きにくいのが正直なところだ。

 一般にはなじみの薄い化学工業界だが、経団連会長を出すのは3人目である。2010~14年に、同じく住友化学出身の米倉弘昌氏が務めたことを知っている人は多いだろう。ではもう一人は? 実は初代会長も化学メーカーから出ていた。

 経団連が発足したのは戦後間もない1946年8月。「経済団体連合会五十年史」(99年発行)によると、その前年、中島知久平商工相が戦後日本経済の収拾策を主要経済団体の代表者に諮問したことを機に、日本経済連盟会など4団体が「連合委員会」を設置した。

 その際、具体的な問題を検討するために設けられた六つの専門分科会があった。「食糧」「船舶」「繊維」「化学」「鉄鋼」「渉外」――。渉外を除く五つが、戦後日本を支える重要産業と位置づけられていたことを示している。

経済団体連合会の第15回定時総会であいさつする石川一郎会長(1955年5月6日、東京・丸の内で)
経済団体連合会の第15回定時総会であいさつする石川一郎会長(1955年5月6日、東京・丸の内で)

 経団連は会長・副会長を空席としたまま発足し、トップの代表理事に就任したのが、日産化学工業(現日産化学)の石川一郎社長(1885~1970年)だった。石川氏は48年に初代会長に就任し、「もはや戦後ではない」との流行語が生まれた56年まで務めた。

 石川氏の生涯を記した「石川一郎 日本を開いた財界人の生涯」(阪口昭編著、鹿島研究所出版会)によると、本人は当初、「私は一介の技術屋出身に過ぎない。私が最適任のはずはない」と周囲に漏らしていたという。

 東京帝国大学で応用化学を学び、生産技術には強かったが、財界トップの重責を担うことには戸惑いもあったのだろう。しかし、「いまや経済界は生産技術に強い人がこれをリードしていかなくてはならぬ」(斯波(しば)孝四郎・元三菱重工業会長)と石川氏を推す声は強かった。

 化学工業界は戦前から、硫酸やソーダ、肥料部門を中心に発展し、日本経済を支えていた。石川氏の日産化学もその一つ。産業の「縁の下の力持ち」とも言える化学メーカーの技術力への期待が、初代会長を生み出す原動力になったのだろう。

 現在の化学工業界も、日本経済で重要な地位を占めている。日本化学工業協会によると、2018年の出荷額は46兆円で、製造業では自動車を含む「輸送用機械器具」に次いで2位。従業員数も94万人で、食料品や輸送用機械器具に続く3位で多くの雇用を生んでいる。

 一方で、「脱炭素」が叫ばれる近年は逆風を受ける業界でもある。国立環境研究所によると、19年度の化学工業の二酸化炭素(CO2)排出量は5624万トンで、鉄鋼業(1億5455万トン)に次ぐ2位。多くの化石燃料や電力を消費する化学工場を抱えているため、やむを得ない面もあろう。

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2077754 0 デスクの目~経済部 2021/05/26 15:00:00 2021/05/26 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210524-OYT8I50052-T.jpg?type=thumbnail

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