マクロン大統領不覚…ノートルダム大聖堂は「焼失前の姿」で再建へ

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編集委員 鶴原徹也

 焼け落ちた尖塔(せんとう)は元に戻すのか、新しくするのか、それが問題だ――。昨春炎上したパリのノートルダム大聖堂の再建を巡り、1年以上続いた論争にようやく決着がついた。

火災により崩落するノートルダム大聖堂の尖塔(2019年4月15日撮影)=AFP時事
火災により崩落するノートルダム大聖堂の尖塔(2019年4月15日撮影)=AFP時事

 元に戻す、と。

 マクロン仏大統領がこの7月、「焼失前の姿に戻す」とする建築家フィリップ・ヴィルヌーヴ氏の報告書を承認し、決した。

 政教分離を国是とするフランスだが、建物としての大聖堂は国が所有する。宗教団体は、この場合はカトリックのパリ大司教区だが、国から無料で使用権を貸し与えられる。このようにして国が信仰の自由を保障している、という理屈らしい。建物の保全は国が行う。

国際コンペをぶち上げたマクロン氏

 論争に火をつけたのはマクロン氏だった。

 セーヌ河岸に立つ、この大聖堂が燃えたのは2019年4月15日。衝撃は世界を駆け巡り、本紙の「読者が選んだ19年の海外10大ニュース」で2位(1位は香港の学生らの大規模デモ)だった。

 マクロン氏は火災直後に「5年以内の再建」を約束。崩落した高さ93メートルの尖塔については「現代建築の意匠で装うのも一つの手」と言及して国際コンペ案をぶち上げた。

 内外の建築家からは「ガラスの尖塔」「屋上庭園」「展望テラス」など様々な提案が寄せられたという。

 しかし、変更は専門家にも国民にも極めて不評だった。

 大統領はノートルダムに「現代建築の意匠」を加えることで、自らの名を歴史に刻みたかったのだろう。

ルーブル美術館のナポレオン広場にあるガラスのピラミッド。ライトアップされ、幻想的な雰囲気を生み出している(1997年撮影)
ルーブル美術館のナポレオン広場にあるガラスのピラミッド。ライトアップされ、幻想的な雰囲気を生み出している(1997年撮影)

 先例はある。例えばミッテラン大統領(在職1981~95年)は89年、パリのルーブル美術館のナポレオン広場に米国の建築家I・M・ペイ設計によるガラスのピラミッドを出現させて世界を驚かせた。そして、ルーブルに名を刻むことに成功した。

 マクロン氏は失敗した。

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1437060 0 編集委員の目 2020/08/28 10:00:00 2020/08/28 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200825-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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