東京五輪・パラリンピックのコロナ対策「規定集」、公表急いだ狙いとは
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国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)と2020年東京大会組織委員会は3日、大会関係者に向けた新型コロナウイルス感染症対策の考え方や指針をまとめた「プレーブック」(規定集)を公表した。早期に周知する狙いと課題は何か。

プレーブックは、日本への渡航前、入国時、滞在と大会参加、帰国時の4段階に分けて、感染症対策や行動規範を分かりやすくまとめたものだ。詳細部分はグループ別に異なっており、3日に公表されたのは競技役員を含む国際競技連盟用。選手用の規定は9日に通達される。
「渡航制限かかった状況」を前提に対策講じる


内容は、渡航制限がかかった状況下で、特例で渡航をする際に要求される行動規範に沿ったものだ。世界保健機関(WHO)の知見や各国で開催されている競技大会の経験も盛り込んでおり、渡航前の陰性証明の提出や、期間中の検温・検査に加え、「認められた場所(競技・練習会場)以外は訪れない」「公共交通を使わない」「マスクの着用」「声援ではなく拍手を」など多岐にわたる。
IOCは、世界のコロナ禍の状況に応じた「四つのシナリオ」を想定、対策を準備してきたという。今回のプレーブックは明らかに、「一部の国・地域で感染症が広がり、渡航制限がかかっている状況」(IOC関係者)に基づいている。(大会が開幕する)7月の状況は予見できないとするものの、こうした状況が続く可能性が高いと見ているのではないか。今後進むであろうワクチン接種についても、医療関係者や高齢者を優先した後で、可能なら関係者もぜひ接種を検討してほしいとするものの、規定の適用は接種の有無によって一切変更はないと明記している。
記者会見で「開催の意義」強調したIOCとIPC
オンラインの記者会見に臨んだIOCのクリストフ・デュビ五輪執行局長は「WHOや世界の専門家、日本政府や東京都、数千という競技大会が行われている中からの最新情報を一元化した。日本の国民の皆さんと大会関係者の安全を守ることを最優先にしている。安心、安全に大会が開催できるということを感じてほしい」と語った。IPCのクレイグ・スペンス・ブランド及びコミュニケーション責任者は「こうした状況にあるからこそ、(困難や違いを超える)パラリンピックを開く意味があると信じる。過去こうした課題に直面した開催国はなかった。皆で協力し、歴史を作りたい」と語った。