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「平和」の象徴に開催国のメンツ…聖火リレーが背負ってきたもの

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編集委員 結城和香子

 東京五輪の聖火リレーが各県を回っている。「密」を避ける沿道規制や、感染が広がる地域での実施方法の変更など運営上の難しさは山積するが、コロナ禍の中でも日々笑顔で手を振る市井のランナーたちの姿があり、聖火が継がれていくことを、多とするべきなのだろう。聖火リレーの歴史は、さまざまな困難や問題と、実は無縁ではないからだ。

バケツの水、ルート変更…抗議運動の標的に

 残念ながら近年最も頻発してきたのは、リレーそのものの妨害だ。五輪開催の象徴としての意味を持つ聖火リレーは、世界の注目を集める機会でもあり、環境問題から人権問題まで、多くの抗議運動の標的とされてきた。

聖火リレーのコースで、互いの距離を保つよう呼びかける関係者(3月25日、福島県楢葉町で)
聖火リレーのコースで、互いの距離を保つよう呼びかける関係者(3月25日、福島県楢葉町で)
大勢の人が見守る中、名古屋市中心部で開催された聖火リレー(4月5日)
大勢の人が見守る中、名古屋市中心部で開催された聖火リレー(4月5日)

 例えば2008年北京五輪の聖火リレーでは、当時存在していた各国を回る「国際ルート」が、チベット動乱を端緒とした中国の人権問題への抗議の標的となった。ロンドンでは実力行使に出た抗議側が、聖火の奪取や消火を試み、警官隊とのもみ合いで混乱を極めた。続くパリでは聖火リレーのルートを変更、一般人が入れないトンネルの中を通すなど、苦肉の策で対応した。サンフランシスコでもルートを極秘に変更、聖火が「行方不明」になった。沿道の人々と交歓する、本来のリレーの意義からはほど遠い状況が生まれ続けた。

長野市内で行われた北京五輪の聖火リレーで、隊列に卵を投げて警備陣に取り押さえられる男性(2008年4月26日)
長野市内で行われた北京五輪の聖火リレーで、隊列に卵を投げて警備陣に取り押さえられる男性(2008年4月26日)

 同ルートの一環として日本(長野市)で開催された際には、今度は動員に呼応した中国系の若者たちが、沿道の片側を中国国旗で埋め尽くし、反対側でチベット旗を掲げる抗議側とにらみあう事態に。聖火ランナーの姿も、中国から派遣された伴走者を含む、十重二十重の警備に囲まれ沿道から見えなくなった。実は筆者も、五輪を取材してきた記者として聖火ランナーに選ばれ参加したが、異様な雰囲気だったことを記憶している。

 北京大会の聖火リレーは、世界の五輪開催都市などを回る壮大な国際ルートを企画していた。前回2004年アテネ大会が、古代五輪を育んだギリシャへの五輪回帰と銘打って、五大陸を回る初の本格的な国際ルートを採用したため、これを上回る規模を意図したものだった。中国政府の面目と国際社会の批判の板挟みとなった国際オリンピック委員会(IOC)は、北京大会を最後に、聖火の国際ルート廃止を決めた。

 前回夏季大会の2016年リオデジャネイロ五輪では、リレーの国内ルートで繰り返し妨害の動きが起きた。ブラジルの経済、政治の混迷で、給料の未払いや、病院など一部の公的機関が機能停止に陥るなど、社会の混乱が深まりつつあったことへの抗議とみられ、バケツの水で火を消そうとするなど、実力行使で警官隊とのもみあいが起きた。

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1971712 0 編集委員の目 2021/04/09 10:00:00 2021/04/09 16:11:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210407-OYT8I50050-T.jpg?type=thumbnail

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