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東電と他電力、地元住民に対する安全意識に“落差”…柏崎刈羽の再稼働遠のく

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編集委員 倉貫浩一

 東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)で不祥事が相次いでいる。原子力規制委員会は原子炉等規制法に基づき、東電に核燃料の移動を禁止する方針を決めた。今年中の実現を目指していた東電再建の柱である柏崎刈羽原発の再稼働は遠のいた。

他人のIDで中央制御室へ不正入室、業務開始に間に合わせるため

東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)
東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)

 核物質防護の問題は、原発所員が他人のIDカードを使って、原発を運転する中枢である中央制御室に不正侵入した問題に端を発している。1990年代に日本原子力発電で原子力事業に携わっていた日本エネルギー経済研究所の村上朋子研究主幹は、「他人のIDによる不正入室は、他電力でも起き得るかというとそれは違う。電力会社の原子力施設、放射線管理区域に入るときの手続きは国際原子力機関(IAEA)の勧告に基づき、細かく決まっている。日本原電にいた時でも、仮に社長が来たとしてもIDなしでは通さなかったろう。東電社員に身分を詐称したら規制に引っかかるという知識がないとしたら信じられない」と語る。

 関係者によれば、不正入室した社員は20代の若手社員だ。この社員は社内処分を受けており、反省もしているそうだが、当初、発覚後に事情を聞かれた際には、不正を働いたことへの自責の念はあまりなかったという。中央制御室の運転は1チーム20人弱で交代勤務を行っており、人数がそろわなければ業務に支障をきたす。他人のIDカードを使って入室したのは、業務開始時間に間に合わせるためであって、やむを得ないことだったという趣旨の話をしていたという。

 柏崎刈羽原発では東電社員、協力企業の社員ら6000人が仕事をしている。1000人の東電社員のうち原発の運転員は約270人、今年中の再稼働を目指していた6、7号機の担当は95人に過ぎない。IDカードをチェックする警備業務を担当していた業務委託先の社員が、原発の中枢を担う中央制御室の運転員の要求に強く抵抗できなかったことは容易に想像できる。不祥事の原因について広報資料には「核物質防護の重要性の理解不足」「厳格な警備業務を行い難い風土」といった言葉が並ぶが、根っこにある原因は見えない。多くの不祥事を引き起こす、業務を行う人が持つ仕事に対する意識や判断の間違いをどう正すのか、対策は見えないままだ。

東電にとって原発再稼働は不可欠、新潟県民と対話を進めてきたが……

 東電にとって柏崎刈羽原発の再稼働は、賠償、廃炉、除染費用を捻出するための収益源として欠かせない。このため、再稼働に向けて、2015年4月に新潟本社を設置し、新潟県民と地道なコミュニケーション活動を続けてきた。同年10月からはスーパーやショッピングモールなどでのパネル展示などを通じて、買い物に訪れた親子連れなどからの疑問や意見を聞いてきた。コロナ禍で昨年2月以降、開催できていないが、県内の全30市町村のうち27市町村で通算65回開催し、1万6000人が来場したという。さらに、新潟本社、柏崎刈羽原子力発電所の社員が柏崎市、刈羽村のすべての自宅を訪問する全戸訪問の活動も続けてきた。当初は、事務系の社員だけで実施していたが、全戸訪問の目的を踏まえて、19年度は、技術系も含めた全社員が手分けして約3万戸を訪問したという。新潟県民と東電の距離は徐々に近くなってきたと評価する声も少なくなかった。

 ただ、全戸訪問に技術系の社員が参加し始めたのが19年度からという点には疑問符がつく。他人のIDカードを使った不正入室や、テロ対策設備の機能不全は技術系の社員の安全に対する意識が原因だからだ。

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1980190 0 編集委員の目 2021/04/13 10:00:00 2021/04/13 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210407-OYT8I50066-T.jpg?type=thumbnail

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