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「ら抜き言葉」、こんなところにも

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編集委員 伊藤剛寛

 「今夜はよーく寝れそうだぜ」

「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一は今の埼玉県深谷市で生まれ育った
「青天を衝け」の主人公・渋沢栄一は今の埼玉県深谷市で生まれ育った

 こう口にしたのは、渋沢栄一。先日放送されたNHK大河ドラマ「青天を()け」の一場面だ。時は幕末、所は今の埼玉県。「寝れそう」は、いわゆる「ら抜き言葉」である。

 大正時代より前にも、東海地方や東北地方の方言で、ら抜き言葉が使われていたという資料はあるようだが、埼玉県でという話は聞かない。現代劇ではなく、江戸時代を舞台にしたドラマで用いられる例は珍しいのではないか。

折り込みチラシにあった「出れる」は、ら抜き言葉
折り込みチラシにあった「出れる」は、ら抜き言葉
標準的な「見られる」の表示。街なかの看板などにはら抜き言葉は少ないようだ
標準的な「見られる」の表示。街なかの看板などにはら抜き言葉は少ないようだ

 今年初めに、大学の研究者らが参加したオンラインセミナーを視聴した。ここでも、ら抜き言葉が多く使われていた。参加者は少人数で、打ち解けた雰囲気だったとはいえ、公的な場だとは言えるだろう。これまで、ら抜き言葉は、改まった場では控えた方がよいとされてきた。

 「ことばの変化は、ふだんの話しことばから始まることが多い。話しことばでも、大勢の人の前では意識して正しいことばを使おうとする」(井上史雄著「日本語ウォッチング」、岩波新書、1998年)。書き言葉や、チェックが厳しいマスコミなどでは表れにくいなど、段階があるという。

 変化が表れる段階は進んできたようだ。私的な話し言葉を中心に広がってきたら抜き言葉が、表にも顔を出し始めているように思える。

ヒット曲、テレビCM…一般的な使用も広まる

 昨年、紅白歌合戦に出場したYOASOBIの「夜に駆ける」には、「信じていたいけど信じれないこと」という一節があった。往年のヒット曲にも、ら抜き言葉は用いられてきた。「フレンズ」「あなたに会えてよかった」「夜空ノムコウ」――。いずれも名曲。「この曲なら抵抗がない」という声も聞く。

 テレビコマーシャルでもよく耳にする。古くはコンビニエンスストアの「しゃべれる、食べれる」(ら抜き言葉は「食べれる」の方)、夜のニュース番組で耳になじんだ「いつかきっと見れるよね」、最近の外食チェーンのコマーシャルでも、「食べれる」が使われていた。

可能の助動詞「られる」から、「ら」が抜け落ちた

 ここで改めて、ら抜き言葉とは何かについておさらいしたい。

 一段動詞(見る、食べるなど)や、カ行変格活用動詞(来る)の未然形に、可能を示す助動詞「られる」が付いた形から、「ら」が抜け落ちた言い方を指す。「見れる」「食べれる」「来れる」などが代表例。「見られる」「食べられる」「来られる」など、「ら」が脱落しない言い方が標準的とされる。誘う言い方にして、「~よう」の形になるなら、「ら」が必要な動詞だと見分けが付く。「見る」なら「見よう」、「食べる」なら「食べよう」、「寝る」なら「寝よう」などと、心の中で唱えてみる。

 ら抜き言葉は、「言葉の乱れ」とされることがある一方、「言葉の変化」として受け入れる立場もある。新聞などでは使わない。

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2012400 0 編集委員の目 2021/04/27 10:00:00 2021/04/27 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210423-OYT8I50026-T.jpg?type=thumbnail

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