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オリンピック史上初の大規模感染症対策、「組織運営力」の日本に大きな試練

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編集委員 結城和香子

 東京五輪の開幕が迫る中、五輪史上初の経験となる大規模な感染症対策の難しさが浮き彫りになっている。組織委員会は、国際社会からの批判と、感染拡大を懸念する国内世論との板挟みになりつつ、走り続けている状況だ。

東京五輪・パラリンピックの「プレーブック」第3版
東京五輪・パラリンピックの「プレーブック」第3版

 東京大会の感染症対策は、指針を定めた 「プレーブック」第3版 の規定を軸に進められている。国内外の専門家の知見と国際大会での経験を踏まえた、考え方の枠組みはいいとしても、選手団からメディアまで多様な関係者が絡む五輪にあって、それを実行に移し、かつ効果を上げるのは至難の業だ。組織委の守備範囲を超える課題も少なくない。

 例えば6月19日に入国したウガンダ選手団の陽性事例では、空港検疫で陽性となったコーチだけでなく、その後バスで泉佐野市に向かった選手の中にも陽性者が出た上、同乗した関係者が一時濃厚接触と判定された。入国時の検疫を担当する政府と、その後の濃厚接触判定などを行う自治体(保健所)の連携に課題が見えただけでなく、感染症対策の意識には各国・地域で温度差があることも浮かび上がった。

成田空港に到着したウガンダの選手団。新型コロナウイルスに陽性となったメンバーがいた(6月19日、千葉県成田市で)
成田空港に到着したウガンダの選手団。新型コロナウイルスに陽性となったメンバーがいた(6月19日、千葉県成田市で)

 同選手団は、アストラゼネカ製のワクチンを2度接種しての入国だった。ただ、少なくとも陽性となった1人は、2度目の接種からそう日が () っていなかったとされる。選手団の2人が陽性となった、インド等で広がるデルタ株の感染力が、同ワクチンの効果を低減したとも見られている。英BBCは、母国ウガンダの関係者の話として、選手団が出国前、多くの激励などを受けていたことも明かしている。

 その後日本側は、特にデルタ株の広がりが見られる国・地域の選手団には、渡航前後の人的な接触をチーム関係者に留めるよう要請した。また、政府は入国時の濃厚接触判定など、新たな水際措置を発表した。3日に入国したセルビア選手団に、検疫で陽性者が出た際には、その教訓が生かされている。

滞在中の行動制約、欧米メディアから批判も

 人権の基本の一つは、行動の自由だと言われる。感染症対策の難しさは、社会に感染症を広げ得るリスクと、個々人の行動制約や監視を 天秤(てんびん) にかけなければいけない点だ。欧米のメディアから「報道の自由に抵触する」などと批判が出たのは、その視点の差が一因とも言える。

 6月末、米国の主要紙や通信社の編集者が、東京大会時の感染症対策について、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会に「抗議文」を送った。報道によると、入国後14日間は行動制約により五輪競技以外の取材ができにくいこと、GPSを使った行動監視があり得ること等への懸念だったとされる。今月、国際スポーツ記者協会(AIPS)もオンライン会議で、「我々は日本の敵ではない」(メルロ会長)などと、行動制約についての批判を行った。「日本社会の懸念の高まりは、ワクチン接種の遅れが一因で、それが海外からの入国者に対する極端な行動制約にもつながっている」と示唆する見方まで出始めている。

 批判には事実関係の誤解も多い。ただ、日本側の対応も、国内社会の懸念解消に腐心するあまり、訪日する当事者への視点や説明に欠けた部分があった可能性がある。海外の関係者に厳しい規定を順守してもらうために、例えば「ホテルからコンビニに買い物に出る時は指定された店のみに、短時間で、警備員に断ってから」などと事細かに行動規範を定め、逸脱への罰則があることを繰り返す。そんな対応が、どう受け取られるかということだ。

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2195022 0 編集委員の目 2021/07/10 10:00:00 2021/07/10 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210708-OYT8I50095-T.jpg?type=thumbnail

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