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国士の直言か、政権批判か…官僚のあり方を問う財務次官の寄稿

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編集委員 尾山宏

 国の先行きを憂いた直言か、あるいは政治家軽視の (おご) りとみるべきか。意見が分かれるところだろう。

矢野康治・財務次官
矢野康治・財務次官

 財務省の矢野康治次官による月刊誌「文芸春秋」への寄稿だ。日本の財政状況を「(沈没した英国の豪華客船)タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなもの」と表現し、財政破綻に警鐘を鳴らした。岸田首相が唱える「数十兆円規模の経済対策」にも触れ、「国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてくる」と指摘した。

 矢野氏は、省内きっての財政再建論者として知られる。菅前首相が今夏、今年度補正予算の編成を検討した際、財政悪化を唱えて「待った」をかけたのも矢野氏だという。

政府内で議論すべき話…安倍政権下なら寄稿できたか?

霞が関の中央省庁
霞が関の中央省庁

 寄稿を読んで、城山三郎さんの小説「官僚たちの夏」の主人公・風越信吾を思い出した。通産官僚の風越は、「おれたちは、国家に雇われている。大臣に雇われているわけじゃないんだ」をモットーに、仕事に明け暮れ、高度経済成長時代を (けん)(いん) していく。物語は昭和30年代が舞台だ。国士タイプの官僚は減った気がするが、矢野氏にはそんな側面を感じる。

 自民党は「現役の官僚トップが、政権に冷や水を浴びせるような発信をすることは許せない」(幹部)と憤っている。確かに矢野氏の主張は、政府内で議論すればいい話と言える。

岸田首相
岸田首相

 岸田首相は「議論として、いろんな考え方、意見は当然あっていい。いったん方向が決まったら、しっかりと協力してもらわなければならない」と述べるにとどめている。

 安倍政権時代、内閣官房に内閣人事局が設置され、首相官邸の力は強まっている。岸田首相は、この件で人事権を行使することもできるだろう。だが、霞が関が反旗を翻せば、政権運営は行き詰まってしまう。首相は、まずは衆院選で勝利し、国民の信を得ることが優先だと考えているのかもしれない。

 矢野氏は寄稿について、事前に麻生太郎・前副総理兼財務相の了解を得ていたという。もし、安倍政権時代だったら、安倍氏と盟友関係にある麻生氏は、部下による政権批判のような論評を許しただろうか。そんな疑問もわいてくる。

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2444275 0 編集委員の目 2021/10/15 10:00:00 2021/11/15 10:24:23 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211014-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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