ふるさと納税…結局誰が得をして、誰が損をしているのか

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

編集委員 伊藤剛寛

 確定申告の時期となった。ふるさと納税の処理を進めている人もいることだろう。「ワンストップ特例制度」という簡易な仕組みもあるが、6自治体以上に寄付したり、1月10日の申請締め切りに間に合わなかったりした場合、確定申告が必要になる。私も先日、書類を郵送した。

増加傾向、昨年度は6725億円に

ふるさと納税では、農畜産物や水産物の返礼品が人気だ(写真はイメージです)
ふるさと納税では、農畜産物や水産物の返礼品が人気だ(写真はイメージです)

 ふるさと納税は、住んでいる自治体以外に寄付すると、税金の還付や控除が受けられる仕組み。寄付を通じて、出身地などを応援するというのがもともとの趣旨だ。その際、一定の条件のもと、実質2000円の自己負担で、寄付先の自治体から返礼品を受け取ることが出来る。ふるさと納税のサイトを見ると、肉や魚介などの食品、工芸品、雑貨など多彩な品が紹介されている。

 ふるさと納税の利用は増加傾向にある。総務省のまとめでは、2020年度の実績は約6725億円で前年度比1.4倍に上る。これまでには、自治体間の競争が過熱し、豪華な返礼品が問題になり、返礼品の調達価格の上限が、寄付額の3割とされるなど、制度の改正も行われた。

 利用者にとっては、「2000円の負担で、返礼品がもらえるお得な制度」というイメージが強い。一方で、都市部の自治体などは、税収の流出がもたらす弊害を訴えている。

得をするのは寄付先?サイト運営者?…意外な最も損をする人

 ここで改めて、ふるさと納税制度の「利害関係者」ごとに、メリット、デメリットを検討してみたい。法政大学教授で、東京財団政策研究所主席研究員の平田英明さん(日本経済論)の意見を聞きながら、整理してみた。

 「関係者」として、「寄付先の自治体」「ふるさと納税利用者が住んでいる自治体」「ふるさと納税の利用者」「国」「ふるさと納税のサイト運営者」「返礼品を扱う業者」「その他」を想定した。

 当然ながら、 寄付を受ける自治体 はメリットが大きい。「国の仕組みにより、安定的な需要を誘導してもらっています」と平田教授。ただし、返礼品を用意するコストがかかる。まず、調達で寄付金の最大3割は減ってしまう。ふるさと納税のサイトなどで、宣伝もしてもらわなければならない。送付費用もかかる。総務省によると、2020年度に、ふるさと納税の募集に要した費用は全国で3000億円以上、寄付の受け入れ額の45%に達する。「半分程度は経費に使われているということです」

  利用者が住む自治体 は、税金が流出するだけ。メリットはほぼない。「ふるさと納税で赤字になる自治体は、圧倒的に都市部が多い。都市部から地方に税収が再配分されている面では、一定の成功を収めていると言えます」。ただし、地方でも、人気の出る返礼品がないところもある。第1次産業の特産品があるかどうかで、勝ち負けがはっきりする傾向が強い。「再配分が返礼品に左右されるという点、公平性の面ではいかがなものかと考えます」

1

2

スクラップは会員限定です

使い方
2768781 0 編集委員の目 2022/02/18 10:00:00 2022/02/21 16:10:44 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/02/20220216-OYT8I50079-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込みキャンペーン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)