中国の国際競技大会延期・中止の思惑…ゼロコロナの限界とウクライナ侵攻の影

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編集委員 結城和香子

 今年後半にかけて、中国で開催予定だった夏季アジア大会など三つの国際競技大会が6日、相次いで延期・中止された。決定を公表したのはアジア・オリンピック評議会(OCA)など各競技大会の主催団体だが、背後には明らかに中国側の事情がある。

アジア大会代表の追加選考会を兼ねていた競泳・日本選手権女子50メートルバタフライで優勝し、笑顔を見せる池江璃花子(4月28日、横浜国際プールで)
アジア大会代表の追加選考会を兼ねていた競泳・日本選手権女子50メートルバタフライで優勝し、笑顔を見せる池江璃花子(4月28日、横浜国際プールで)

 延期となったのは、浙江省杭州市で9月10日から25日まで開催される予定だったアジア大会。また、6月に四川省成都市で開幕する予定だった世界ユニバーシティー大会(旧名ユニバーシアード)だ。ともに来年の開催日程を模索している。さらに、12月に広東省で開催予定だったアジアユースゲームズは、ばっさり中止になってしまった。

 アジア大会は、日本にとっては五輪の次に大きな国際総合大会で、2024年パリ五輪をにらんで動き出していた競技現場には、少なからず影響が及びそうだ。池江璃花子選手のように、アジア大会と世界ユニバーシティー大会双方に出場が決まっていたアスリートもおり、計画は仕切り直しとなる。

理由は「コロナの感染状況」…上海ロックダウンで開催断念か

北京オリンピック開会式の会場に現れた五輪シンボル(2月4日夜、北京・国家体育場で)
北京オリンピック開会式の会場に現れた五輪シンボル(2月4日夜、北京・国家体育場で)
新型コロナウイルスの感染拡大が続く上海市で、全住民に対して急きょ再実施されたPCR検査(4月9日)
新型コロナウイルスの感染拡大が続く上海市で、全住民に対して急きょ再実施されたPCR検査(4月9日)

 中国にすれば本来なら、22年北京冬季五輪の「開催成功」に続いて主要大会を矢継ぎ早に繰り出し、スポーツ大国を印象づけるとともに、中国国民の愛国心盛り上げにつなげたい意図だったろう。北京五輪とパラリンピックの開会式の冒頭では、統一された衣装を着た幸せそうな群衆が登場、 (シー)(ジン)(ピン) 主席が貴賓席に着くのを、両足で跳びはねながら両手を振り、歓声を上げて迎える……という演出が繰り返された。今年後半の共産党大会で、異例の3期目入りを目指す習政権。スポーツ大会と中国選手の活躍は、人心を一つにする格好のツールともなる。

 それなのに、一体何が起きているのか。

 OCAはアジア大会の延期理由を「新型コロナウイルスの感染状況を勘案したため」だとしている。現下の中国国内の感染状況は、数字で見る限り世界の多くの国より低水準だ。しかし杭州市から200km弱離れた上海市では、オミクロン株の感染拡大で3月下旬以降、武漢を想起させるロックダウンと徹底した検査体制が敷かれている。隔離に食料の供給などが間に合わず、住民から悲鳴や反発さえ漏れ聞こえてくる。いつ収束するかも分からない住民の受難の傍ら、国際競技大会を開催することが、どんな人心の反感を呼ぶか。そう計算したとしても、不思議ではない。

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3004413 0 編集委員の目 2022/05/17 10:00:00 2022/05/17 12:28:04 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/05/20220513-OYT8I50059-T.jpg?type=thumbnail

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