圧倒的に足りない? 給付型奨学金への学生の理解…高校での成績要件は「事実上なし」なのに

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編集委員 古沢由紀子

 「成績優秀者のみが対象で、自分には関係のない制度だと思っていた」「返済不要の奨学金があるなんて、高校生の時に教えてもらいたかった」――。東京都内のある私立大学の授業に参加し、最近の教育政策について話す機会があった。そのなかで、2020年度から導入されている国の「給付型奨学金」について触れたところ、学生たちからは驚きの声が上がった。

 貸与型を主体に、今や大学生の2人に1人が利用しているという奨学金。身近な存在で必要な情報であるにもかかわらず、正しい知識が伝わっていない状況を実感した。その背景には、制度が複雑で近年は新たな仕組みの導入も相次ぐ中、大学・専門学校への進学前の説明が十分に行われていないという問題があるようだ。

「専門家」にも誤解?指南書にも注意が必要

給付型奨学金を周知する修学支援制度の政府広報ポスター(高校用)
給付型奨学金を周知する修学支援制度の政府広報ポスター(高校用)

 「残念ながら評定平均3.5以上の成績を取っていないと、給付型奨学金は受けられません」。ある民間団体主催の高校生対象の説明会で、ファイナンシャルプランナーの講師は断言したという。「高校の授業のレベルが高く、成績を上げるのが難しい」という進学校に通う高校生からの質問に答えたものだが、結論からいえばその回答は間違っている。成績の評定平均は、給付型奨学金を受ける必須要件ではなく、この生徒も家庭の経済状況の基準を満たしていれば給付を受けられる。

 実は、市販されている奨学金の申請に関する「指南本」の一部についても注意が必要だ。発刊時期によっては、制度変更前の可能性があるだけでなく、比較的最近出た本にも、特に成績要件については「専門家」の理解不足が見受けられるからだ。

 国の奨学金の貸与や給付を担うのは、独立行政法人・日本学生支援機構(JASSO)。かつての日本育英会で、戦後は無利子で学費を貸与し、一部の優秀な学生や学校の教員になった人には返済を免除する制度もあった。そのせいか、「奨学金を受けられるのは成績優秀者だけ」という世間の認識は今も根強いようだ。

 2020年度から導入された給付型奨学金は、対象となる生徒の世帯年収には厳しい制限を設けているが、成績要件は事実上ないに等しい。誤解が生じがちなのは、複雑な制度にもかかわらず、特にこの成績要件については、ホームページなどにある公式の説明が一読しただけでは「わかりにくい」ためだろう。

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3118613 0 編集委員の目 2022/06/28 10:00:00 2022/07/05 11:45:44 https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/06/20220624-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail

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