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<明治から大正へ>第7回~「大逆事件」の前後

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調査研究本部主任研究員 浅海伸夫

「勝利の悲哀」

徳冨蘆花
徳冨蘆花

 小説家の徳冨蘆花(とくとみろか)(1868~1927年)は1906(明治39)年12月10日、第一高等学校で「勝利の悲哀」と題して講演しました。蘆花は徳富蘇峰(そほう)の実弟で、『不如帰(ほととぎす)』『自然と人生』などの作品で知られていました。

 この年の4月、パレスチナ経由ロシアの旅に出た蘆花は、かねて傾倒していたロシアの文豪トルストイに会って、8月に帰国しました。

 講演で蘆花は、「日露戦争の終局に当りて、一種の悲哀と、煩悶(はんもん)、不満、失望を感ぜざりし者幾人かある」と、多くの日本人が胸中に「勝利の悲哀」を感じていると語り始めます。

 そのうえで、蘆花は、戦争の勝利で日本が「一等国」に()したとはいえ、「(なんじ)の独立()し十何師団の陸軍と数十万(トン)の海軍と云々(うんぬん)の同盟(日英同盟)とによって維持せらるゝとせば、爾の独立は実に(あわ)れなる独立(なり)。爾の富若し何千万円の生糸と茶と、撫順(ぶじゅん)の石炭と、台湾の樟脳(しょうのう)砂糖にあらば、爾の富は貧しきもの也」と喝破(かっぱ)します。

第一高等学校
第一高等学校

 また一方、日本の戦勝に対して嫉妬や猜疑(さいぎ)を抱く白人と、民族意識に目覚める有色人種との間に立って、「爾は如何(いか)にして何をなさんと欲する()」と問いかけ、「一歩を誤まらば、爾が戦勝は、即ち亡国の(はじめ)とならん、(しこう)して世界未曾有の人種的大戦乱の(もと)とならん」と警告しました。

 最後に蘆花は、「()めよ、日本。眼を開け、日本」と叫び、「日本国民、(くい)改めよ」と結びました。

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1781476 0 「世界と日本」史 2021/01/20 05:20:00 2021/01/20 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210113-OYT8I50049-T.jpg?type=thumbnail

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