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<第1次世界大戦と日本>第7回 戦線は膠着、総力戦に

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調査研究本部主任研究員 浅海伸夫

「クリスマスには帰ってきます」

 19世紀後半のヨーロッパでは、プロシアとオーストリア、プロシアとフランスとの間で戦争がありましたが、その後は欧州大陸を巻き込むような大戦争は起こりませんでした。

 戦場に赴く新兵も、士官も、そして国家指導者も、始まった戦争が長期間にわたるとは考えていませんでした。ドイツのヴィルヘルム2世は、1914(大正3)年の8月第1週に出征した兵士たちに「落葉の季節となる前に、諸君は家に帰れるであろう」と告げました。また、ロシアでもフランスでも短期戦と信じられていました。(山上正太郎著『第一次世界大戦』)

シュテファン・ツヴァイク
シュテファン・ツヴァイク

 オーストリア=ハンガリーの作家、シュテファン・ツヴァイクは、後年著した自伝『昨日の世界』(原田義人訳)で、第1次世界大戦勃発の日をこう書いています。

 「1914年6月28日、あの銃声がサライェヴォに (おこ) った。それはわれわれが育てられ、生長し、故郷としていた、安定と創造的な理性との世界を、一瞬にしてうつろな陶製の器のように千々に砕き散らしたのである」

 「どの列車も新しく入隊させられる新兵でいっぱいであり、旗がひるがえり、音楽がどよめき、ウィーンでは全市が興奮しているのを (みい)() した。何びとも、国民も政府も欲しなかった戦争、……それに対する最初の恐怖は、突然の熱狂に (かわ) っていた。……至る (ところ) に旗やリボンや音楽が燃えあがり、若い新兵たちは意気揚々と行進した。彼らの顔は明るかった」

 「彼らは戦争を知らず、ほとんど戦争のことを考えたこともなかった。戦争はひとつの伝説であり、まさしくそれが遠くにあることが、戦争を英雄的でロマンティックなものとしたのであった。(中略)『クリスマスにはまた家に帰ってきますよ』と、1914年8月に新兵たちは笑いながら、母親たちに叫んだのであった」

 しかし、兵士たちは、その案に相違して、長い消耗戦の果て、おびただしい「死」の山に直面することになります。

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2471721 0 「世界と日本」史 2021/10/27 05:20:00 2021/10/27 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/10/20211020-OYT8I50025-T.jpg?type=thumbnail

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