コロナ禍の今こそ考えるべき真の「徳政」とは

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調査研究本部 丸山淳一

地域を限定した営業時間の短縮や休業要請について、記者会見で説明する大村秀章愛知県知事(8月1日)
地域を限定した営業時間の短縮や休業要請について、記者会見で説明する大村秀章愛知県知事(8月1日)

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大するなかで、飲食店などに営業時間の短縮や自粛を再要請する自治体が相次いでいる。東京都に続き、愛知県も8月5日から、名古屋市中区の一部の飲食店に営業時間の短縮や休業を要請した。要請に応じた店には月20万円程度の協力金を出す。

 月20万円では足りないという声もあるようだが、名古屋市は5月から、飲食店など中小事業者の営業継続を支援する独自の低利融資制度「ナゴヤ信長徳政プロジェクト」を展開中だ。河村たかし市長は「楽市・楽座で商業を振興した織田信長(1534~82)の精神を生かし、ナゴヤの商売と雇用を守り抜く」と力説する。愛知県の大村秀章知事と名古屋市の河村たかし市長はとかく仲が悪いと言われるが、営業自粛要請と支援策は、不可欠かつ不可分だ。ここは緊密な連携をお願いしたい。

信長は楽市楽座で徳政令を除外

安土の楽市楽座令には、徳政の免除が明記されている(『安土山下町中掟書(あづちさんげちょうちゅうおきてがき)』部分、近江八幡市所蔵)
安土の楽市楽座令には、徳政の免除が明記されている(『安土山下町中掟書(あづちさんげちょうちゅうおきてがき)』部分、近江八幡市所蔵)

 信長が商業の振興に力を注いだのは事実だが、楽市楽座は「徳政」の見本ではない。逆に、天正5年(1577年)に安土城下に出した楽市楽座令で信長は、「分国(近江=滋賀県)で徳政を行っても、安土は免除する」と宣言している。この2年前には、公家や寺社(門跡)を対象に徳政令を出しているから、徳政令自体を否定しているわけではない。徳政令は商業振興には邪魔と考えていたのだろう。

 だが、河村市長のいう「楽市楽座の精神を生かした徳政」も間違いとは言い切れない。広辞苑で「徳政」と引くと、(1)人民に恩徳を施す政治。租税を免じ、大赦を行い、物を与えるなどの仁政(2)中世、売買・貸借の契約を破棄すること――という二つの意味が記されている。河村市長のいう徳政は(1)、信長が楽市楽座で排除した徳政は(2)の意味だろう。なぜ、二つの意味を持つようになったのか。それを知るには、徳政の歴史を振り返る必要がある。

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1387357 0 今につながる日本史 2020/08/05 10:00:00 2020/08/05 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200803-OYT8I50089-T.jpg?type=thumbnail

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