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リアルなSF戦争叙事詩、最後に来る静かな感動…三宅乱丈『イムリ』

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編集委員 石田汗太

三宅乱丈『イムリ』(KADOKAWA、全26巻)
三宅乱丈『イムリ』(KADOKAWA、全26巻)

 前回、新しいマンガの方法論としての<世界観エンタメ>について書いたが、まさにそれを体現するようなSFファンタジーの大作が、今月、全26巻で完結した。「月刊コミックビーム」(KADOKAWA)に14年にわたり連載された、()(やけ)(らん)(じょう)さんの『イムリ』である。

 冒頭から、作り込まれた異世界設定に圧倒される。カーマ、イコル、イムリの3民族が住んでいたルーン星は、4000年前の戦争で、カーマの兵器のため氷に閉ざされた。カーマの民は勝利したが、隣星マージへの移住を余儀なくされ、イコルを奴隷民として文明を繁栄させていた。

 主人公デュルクは、カーマ社会の宗教系エリート「呪師」候補生の少年。マージではなぜか子どもが生まれず、カーマの支配層である呪師たちは、氷が溶け始めたルーンに帰還する計画を進めていた。

 覚者(下級呪師)ラルドのお付きの研修生としてルーンに派遣されたデュルクは、呪師の権力を奪おうとする軍人のクーデターに巻き込まれ、荒野へ脱出。イムリの旅人ドープに出会い、カーマとは違う、自然と共生する文明を、イムリがルーン星で築いてきたことを知る。

 かつてカーマと戦ったイムリには、体に宿して使う古代兵器――「道具」に関する伝承詩があり、それが現在のイムリに解明されることをカーマは恐れていた。その「道具」は偶然に、デュルクの体に入れ墨のように刻印され、カーマ軍人を惨殺する。デュルクの両親は実はイムリであり、彼はイムリの民から、カーマの侵略に抵抗する「伝説のイムリ」と呼ばれるようになる。

 イムリは必ず双子で生まれ、2人は心で結びつく。デュルクにも双子の片割れミューバがいた。しかし、養父の呪師デュガロの策謀でデュルクを憎み、カーマの冷血な指揮官となる。疑心と憎悪の連鎖は止まらず、両民族は再び泥沼の戦争に突入する……。

 長々とあらすじを説明してしまったが、これでまだ最初の7巻くらいだ。ものすごい情報量と、()(とう)のストーリー展開がおわかりいただけると思う。だが実は、最大の面白さをまだ書いていない。

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1420263 0 一押しマンガ 2020/08/20 10:00:00 2020/08/20 10:11:23 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200819-OYT8I50006-T.jpg?type=thumbnail

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