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逆風は順風に変わるのか? 自民党総裁選をめぐる虚実

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編集委員 伊藤俊行

 総選挙が目の前に迫り、自民党に対する逆風に不安を抱える現職議員の中には、「メディアが『ポスト菅』を巡る報道一色になり、風は弱まる」と「総裁選効果」に期待する声は多い。菅義偉首相が同党総裁選に立候補しないと表明した9月3日以来、それ以前から出馬を表明していた岸田文雄・前政調会長に続き、高市早苗・前総務相、河野太郎・行政・規制改革相も正式に立候補の記者会見を行うなど、同党関係者が「メディアジャック」と呼ぶ状況になっていることは間違いない。果たして思惑通り、総裁選を足がかりに自民党は逆風を順風に変えることができるのだろうか。

左から 岸田文雄・前政調会長、河野太郎・行政・規制改革相、高市早苗・前総務相
左から 岸田文雄・前政調会長、河野太郎・行政・規制改革相、高市早苗・前総務相

総選挙直前の「総裁選効果」は3勝5敗

 1955年の自民党結党以来、無投票も含めて総裁選から半年以内に国政選挙が行われた例は、自民党として初めて臨んだ56年参院選および59年参院選(いずれも、その6年前に自民党の議席はなかった)を除くと、8度ある。

 89年と2000年の2度は、話し合いで無投票となり、それぞれ、宇野宗佑総裁、森喜朗総裁が誕生し、首相に就任している。

 宇野首相は総裁選から約1か月後の参院選で、前内閣での消費税導入と自身のスキャンダルが逆風となり、自民党大敗を招いて退陣した。

2000年6月の衆議院選挙。開票が進む中、差し出された開票状況を聞く森喜朗自民党総裁。右は野中広務幹事長。(自民党本部で)
2000年6月の衆議院選挙。開票が進む中、差し出された開票状況を聞く森喜朗自民党総裁。右は野中広務幹事長。(自民党本部で)

 森首相は総裁選から約2か月後に衆院を解散し、総選挙で自民党は公示前議席から37減と大きく後退し、単独過半数割れとなった。それでも、前回総選挙から比例代表の定数が20減ったという事情や、公明党、保守党との連立によって衆院での「絶対安定多数」を確保したことで、退陣には至らなかった。ただ、求心力は一気に衰え、加藤紘一・元自民党幹事長らが野党提出の内閣不信任決議案に賛成しようとした「加藤の乱」を呼び、総選挙から1年ももたずに辞任に追い込まれた。

 残りの6度は、複数候補による論戦が展開された後、新総裁のもとで国政選挙に臨んだ。

 このうち、総裁選が政権浮揚につながり、国政選挙での議席増につながったのは3度、ちょうど半数だ。

参議院選挙で比例選の当選者名が掲げられたボードの前で、Vサインの小泉純一郎首相(2001年7月、自民党本部で)
参議院選挙で比例選の当選者名が掲げられたボードの前で、Vサインの小泉純一郎首相(2001年7月、自民党本部で)

 1960年に新総裁に選ばれた池田勇人首相は総選挙で、2001年に新総裁となった小泉純一郎首相は参院選で、それぞれ自民党に躍進をもたらした。12年に総裁に返り咲いた安倍晋三氏は、野党の自民党のトップとして総選挙に臨み、政権を奪還した。

 こうしたイメージが強いのか、自民党内には「総裁選を盛り上げれば、その後の国政選挙に弾みが付く」という考え方を疑う声は少ない。

 それが「法則」でないことは、その他の3度の総裁選とその後の国政選挙の結果を見れば、明らかだろう。

 1967年の衆院選では、2か月前に総裁に再選された佐藤栄作首相のもとで自民党は議席を減らした。公示前からは1議席減だったものの、前回総選挙と比べると、定数が19議席増えていたにもかかわらず6議席減となっていて、自民党の得票率も結党以来、初めて5割を切った。

 72年の衆院選も、その5か月前の総裁選が結果としてはプラスに働かなかった。田中角栄、福田赳夫、大平正芳、三木武夫という、後に全員が首相になる実力者4人による激しい選挙戦が展開され、大いに盛り上がったはずなのに、総選挙での自民党の議席は公示前より17議席も減った。

 2003年の衆院選は、2か月前に小泉首相が亀井静香、藤井孝男、高村正彦の3氏の挑戦を退けて再選されたばかりというタイミングだった。結果は、自民党は公示前より10議席も減らして過半数を割り、比例代表では民主党が第1党になる躍進を見せた。

 つまり、総裁選直後の国政選挙の戦績は「3勝5敗」だったとも言える。総裁選が総選挙に追い風を吹かせると楽観するのは、早計だ。

 自民党の現状に厳しい視線を向ける石破茂・元幹事長でさえも、「(菅首相に近かった小此木八郎・前国家公安委員長が敗れた)横浜市長選の時のような逆風200メートルということはなく、150メートルくらいになった」と話すぐらいだから、その他の自民党所属衆院議員の気分は容易に想像がつく。

 有権者の眼力を、軽く見ない方がいいだろう。

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