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「うがい薬がコロナの重症化を抑える」?
今月4日の午後2時半ごろ、妻からLINEのメッセージが私のスマホに届きました。
「イソジン買って!!」

突然のことで、さっぱり意味が分かりませんでした。その時のLINEのやりとりの画像を貼り付けたので、ご覧ください(一部、プライバシーの関係で加工してあります)。
そうです。妻は、ワイドショーで生中継していた吉村洋文・大阪府知事の記者会見を自宅で見て、すぐに私に連絡してきたのでした。
すでにご存じかとは思いますが、改めて記者会見のポイントを説明しましょう。
吉村知事は開口一番、「うそみたいなホントの話」と前置きしたうえで、新型コロナウイルスの感染者が、ポビドンヨード入りのうがい薬(イソジンなど)を使用したところ、唾液からウイルスが検出される人が減った、と発表しました。
研究内容を説明すると、6~7月、大阪府内に宿泊療養中の軽症者41人のうち25人に1日4回、4日間うがい薬でうがいをしてもらいました。唾液によるPCR検査で、うがいをしなかったグループの陽性率は、初日の68.8%に対し4日目は40.0%。これに対して、うがいをしたグループは、陽性率が56.0%から9.5%にまで低下した。つまり、ポビドンヨード入りのうがい薬でうがいすることで、新型コロナの重症化を抑えることが期待できるのではないか、というわけです。
この結果を受けて吉村知事は、「府民のみなさんへのお願い」として、風邪に似た症状のある人・家族や、接待を伴う飲食店の従業員、医療従事者や介護従事者らに対して、「8月20日までに集中的に、ポビドンヨードによるうがいを励行してください」と呼びかけました。記者会見の反響はすさまじく、全国の薬局でうがい薬の品切れが相次いだのはみなさんご存じの通りです。
さて、妻から「イソジン買って!!」と頼まれた私はどうしたかというと、薬局には行きませんでした。妻は新型コロナの感染者ではないから、期待したのは「予防効果」です。でも私は、LINEで妻に返信したように、ポビドンヨードが「風邪予防には効果がないのに」新型コロナを予防できるとは思えなかったのです。
ポビドンヨード入りうがい薬は風邪にほとんど効果なし
川村孝・京都大名誉教授(疫学)が2005年、うがいの風邪への予防効果を検証した研究結果を、世界で初めて米医学誌に発表しました。ひと言で言うと、「水道水のうがいで風邪が4割減った。うがい薬には少ししか効果がなかった」という内容です。当時、すでに私は医療担当の記者で、この結果は意外性があったので、とてもよく覚えています。