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前立腺がん患者からのメッセージ…セカンドオピニオンは必ず取ろう

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編集委員 山口博弥

 昨年12月21日~25日に読売新聞朝刊に掲載された医療ルネサンス「前立腺がん 記者の選択」。私は1回目の最後に、こう書きました。

 戸惑いや葛藤を経て、治療法を決めるに至った経緯を報告したい。

 ただ、紙幅の関係で、戸惑いや葛藤は少ししか書けなかったので、今回のコラムでは、それも含めて、書き切れなかったことをいくつか書きたいと思います。

1、違和感が半端ない検査「 (はり)(せい)(けん)

 私は、会社の健康診断でのPSA検査と、その後の直腸診と超音波検査でがんが疑われました。最終的に、がんかどうかを確定するために、前立腺に針を刺して組織を採取し、それを病理医が顕微鏡で調べる検査が「針生検」です。どんな検査なのか、少し詳しく紹介します。

 まず、肛門のあたりに穴が開いた紙のパンツにはき替えて、膝を曲げて体の左側を下にしてベッドに横たわりました。肛門周辺に(たぶん)2か所、麻酔の注射を打ちます。それから超音波を発信する装置(プローブ)を肛門に入れ、そこに付属した「バイオプシーガン」からバネ仕掛けの針が飛び出し、直腸の壁越しに前立腺に刺さります。採取したのは計12本。刺される度にパチンと音がし、チクッと痛みます。麻酔のおかげで痛み自体はたいしたことないけど、普段、こんなところに刺激が加わることはないので、違和感が半端ない。特に最後の3本は、刺されると尿道に「ビン」と刺激が伝わり、排尿したいようなしたくないような、何とも言えない不快な感覚になりました。

 看護師から、「2、3日は血尿や血便、血精液が出ます」と説明を受け、前立腺炎予防のための抗生物質5日分(5錠)を渡されました。説明の通り、翌日から3日間、尿に血が混じり、4日目以降は普通に戻りました。

2、セカンドオピニオンは治療法決定時の「当たり前の手続き」

昨年9月30日、東京慈恵医大病院でセカンドオピニオンを聞いた時の説明用紙。放射線治療部教授の青木学さんは、ボールペンを走らせながら、「再発を繰り返せば、70歳までは生きられても、80歳までは難しいでしょう」と言いました。再発を繰り返した場合、「総合力がものを言う」と書いてあります。つまり、手術だけ、放射線治療だけ、ではなく、それらに加えてホルモン療法や抗がん剤治療など多様な「武器」を持ち、複数の診療科が連携を取りながら、患者に最適な治療を行える医療機関が望ましい、ということです
昨年9月30日、東京慈恵医大病院でセカンドオピニオンを聞いた時の説明用紙。放射線治療部教授の青木学さんは、ボールペンを走らせながら、「再発を繰り返せば、70歳までは生きられても、80歳までは難しいでしょう」と言いました。再発を繰り返した場合、「総合力がものを言う」と書いてあります。つまり、手術だけ、放射線治療だけ、ではなく、それらに加えてホルモン療法や抗がん剤治療など多様な「武器」を持ち、複数の診療科が連携を取りながら、患者に最適な治療を行える医療機関が望ましい、ということです

 最初に受診した泌尿器科医に、手術支援ロボット「ダビンチ」で前立腺を摘出する手術を勧められました。記事に書いたように、この医師はロボット手術の実績もあり、信頼できそうな印象を受けたので、一瞬、このままお願いしようか、とも思いましたが、「いや、ダメだ」と踏みとどまったのです。

 なぜかというと、私は長年の医療取材の中で、セカンドオピニオン(別の医師の意見)の大切さを強く感じてきたからです。市民向けの講演やフォーラムでも、こんなことをよく話してきました。

 「たとえば、自分の家を購入する時は、住宅展示場でモデルハウスを見て回る。あるいは、あちこちのマンションに足を運ぶ。そのうえで、複数のハウスメーカーから見積もりを出してもらい、時間をかけて比較検討してから、1社からの購入を決めるでしょう? それなのに、自分の命がかかっているがんの治療法を決めるときに、1人の医師に勧められるがままに治療を受けるのはおかしくありませんか。セカンドオピニオンは遠慮せずに取るべきです」

 かく言う私も、いざ自分がその立場になってみると、目の前の医師に「申し訳ないな」と遠慮する気持ちがわき上がってきたのは事実です。でも、セカンドオピニオンという行為は、一切の感情を抜きにして、治療法を決める際の「当たり前の手続き」の一つとして行うもの。そう考えて、医師に申し出ました。その医師は、快く「ぜひ、セカンドオピニオンは聞いてください」と応じてくれましたが、もし医師がムッとするようなら、その程度の「器の小さい医師」だということです。今の時代、セカンドオピニオンを取るのは当たり前だと考えてください。

 ただし、病院が少ない地方都市などでは、セカンドオピニオンを取る別の病院や専門医を探すのが難しいかもしれません。その場合は、他県の病院も対象にすべきです。通院のことを考えると抵抗があるかもしれませんが、それは二の次。後で考えればいい。まずは、自分にとって最良の治療法は何か、複数の専門医の目で見てもらうことを最優先すべきです。

 結果的に、私はセカンドオピニオンを取って大正解だった、と今は思っています。

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1746548 0 なるほど!医療 2021/01/05 10:00:00 2021/01/05 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201228-OYT8I50016-T.jpg?type=thumbnail

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