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コロナで懸念される進行がんの増加…将来に希望が見えない日本社会とがん検診

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編集委員 山口博弥

 昨年6月9日、このコラムで「新型コロナ流行の裏で…がんの早期発見ピンチ?」という話を書きました。新型コロナウイルスの感染を恐れて受診を控えたり、検診を受けなかったりして、多くのがん専門病院で、来院する患者が減っている、という内容です。

がん専門病院、患者も手術も大幅減

 あれから1年近くが過ぎた今、コロナ禍による受診状況のデータを知りたいと、がん研有明病院の佐野武院長に改めて話を聞きました。以下、教えてもらった数字を紹介します。

【初めて来た新規の患者数】
2019年 9492人
2020年 7658人(19%減)

【上記とは別に、セカンドオピニオン(別の医師の意見)を聞きに来た患者数】

2019年 3105人
2020年 2494人(20%減)

【新規の患者数のうち、人間ドックなど検診関係の施設からの紹介患者数】
2019年 1039人
2020年  699人(33%減)

【手術件数】
2019年 9016件
2020年 7632件(15%減)

【上記のうち、胃がんの手術件数】
2019年 627件
2020年 450件(28%減)

 このように、患者数も手術件数も大きく減っています。

がん研有明病院の佐野武院長
がん研有明病院の佐野武院長

 地域別の患者数の減り具合をみると、23区の人が前年の9%減、多摩地区など23区以外の都下が27%減、神奈川・埼玉・千葉の近隣3県が19.5%減、それ以外の地方が42%減となりました。

 佐野さんによると、「現在の有明に病院が移転した2005年以降、ずっと右肩上がりで増えていた患者数や手術件数が、6、7年前の水準に戻ってしまった」そうです。

 胃がんの手術は3割近く減っていますが、最も早期であるステージ1Aの手術件数をみると、2019年に254件だったのが、2020年は128件と、およそ半数にまで激減しました。乳がん患者の手術件数は、2019年(4~12月)に930件だったのが、2020年の同期は751件と19%の減少。このうち、最も早期のステージ0が、250件から154件へと38%減っています。

 つまり、がん検診や近所の医療機関の診察で早期のがんが見つかり、専門病院に紹介されていた患者の数が大きく減った、ということです。早期がんが見つかった後、地元の病院で適切な治療を受けているのなら問題ありません。しかし、そもそも検診の数自体が減っているのです。

検診受けた人も3割減…がんを見過ごす可能性

 日本対がん協会は、2020年にがん検診を受けた人が、前年よりも3割減ったとする調査結果を今年3月に発表しました。昨春の緊急事態宣言発令に伴い、検診を中止・延期した自治体が多かった影響で、4~6月の受診者が大幅に減ったということです。がんごとの検診の受診者数の減少と、各がんの発見率を照らし合わせると、1000~2100人程度の人が、がんを発見されなかった可能性がある、と推計しています。

 一方、日本肺(がん)学会は今月、2020年1~10月に肺がんの治療を受けた新規患者が、前年同期比で6.6%減った、という調査結果を発表しました。毎年、新たに見つかる原発性肺がんの患者数が約13万人であることから、6.6%で計算すると、約8600人の人が診断と治療の機会を逸した可能性があるそうです。

 検診が中止になって受けられなかったのなら仕方ありません。しかし、がん研有明病院では、毎年受けていた検診を昨年は新型コロナの感染を恐れて受けず、症状が表れて検査を受けたら、がんが見つかった人や、手術ができない状態まで進行したがんが見つかった人がいるといいます。

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2075268 0 なるほど!医療 2021/05/25 10:00:00 2021/05/25 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210524-OYT8I50042-T.jpg?type=thumbnail

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