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医者が逃げたら、あきまへん…コロナ医療に立ち向かう京都の開業医たち

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編集委員 山口博弥

 「開業医がいま頑張らなくて、いつ頑張るのか。医師が安全な場所に逃げるのは、火事を見た消防隊員が逃げ出すのと同じですよ」

医師会理事らが、自宅待機の重症患者に電話回診

「依田医院」で高齢者にワクチン注射を打つ依田さん。通常の診療が始まる前の朝、スタッフの方に撮影していただきました(5月、京都市伏見区で)
「依田医院」で高齢者にワクチン注射を打つ依田さん。通常の診療が始まる前の朝、スタッフの方に撮影していただきました(5月、京都市伏見区で)

 5月30日付本紙朝刊のコラム「広角多角」で紹介した京都市伏見区の開業医、依田純三さん(75)の言葉です。記事では、新型コロナウイルスの感染拡大の中で頑張る京都府の開業医たちの取り組みを伝えましたが、このコラムでもう少し詳しく書きます。

 京都府では新型コロナの感染者について、自宅や宿泊(ホテル)で療養するか、入院するかを、府庁に設けた「入院医療コントロールセンター」で調整しています。伏見医師会理事で府医師会理事も務める開業医の谷口洋子さんによると、感染の第1波や2波では何とか入院調整できたものの、昨年11月以降の第3波では、入院した方がいいのにできない「自宅待機者」が増えてきたそうです。

 12月29日時点での自宅待機者は、380人。センターに詰める病院の医師や医師会理事らの間に、「このままでは、いつか死亡者が出てしまう」と危機感が募りました。そこで立ち上がったのが、府医師会の開業医たちです。医師会と保健所で「自宅療養支援チーム」を作り、重症患者をリストアップしたところ、約70人いることが判明。医師会理事たち12人で手分けして、重症患者の自宅に電話して診察する「電話回診」を始めました。

 直接会って対面で診察する方がいいのはもちろんですが、そんな時間的な余裕はありません。電話の音声だけでも、息づかいや話し方などから、患者の症状をある程度は把握できる。血中の酸素濃度を調べるパルスオキシメーターを着けている人なら、その数値も参考になります。

 医師会では薬剤師会にお願いして、年末年始は薬局をどこか1か所、必ず営業してもらいました。せき止めを飲めば、体力の消耗が減って楽になる。解熱剤で熱が下がれば、飲食ができて脱水症状による状態の悪化を防げる。こうした薬が必要と医師が判断した患者には、薬局から自宅まで薬を配達してもらいました。

 電話回診が終わるとすぐに会議を開き、入院させた方がいい患者をリストアップ、医師が直接、入院医療コントロールセンターに連絡しました。こうして、12月29日から1月3日までの6日間で、自宅待機の重症患者約70人のうち、23人を何とか入院させることができたのです。

 谷口さんは言います。

 「通常、自宅待機者には保健師のみなさんが電話して様子をチェックしていますが、簡単には入院につなげることができません。23人の入院を実現できたのは、開業医一人ひとりが入院の必要性を強い気持ちでコントロールセンターに伝えたおかげだと思っています」

「ホテル回診」で元重症患者の転院促進

 コロナ医療の問題の一つに、「重症病床の目詰まり」があります。重い症状が改善したり、回復したりした患者の転院がなかなか進まず、新しく重症患者を受け入れられない。京都でも、今年1月には自宅待機者が500人を超え、年末年始には残念ながら2人が自宅で亡くなってしまいました。この「目詰まり」を何としても解消しなければなりません。

 そこで府では、回復した患者を重症病床から移す「下り搬送」を強化しようと、受け入れ先にホテルも活用することにしました。症状が回復し、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)が外れた患者は、平均8日で退院できている。ならば、こうした機器が外れたら、軽症病床に移すか、ホテルで療養してもらう――。こうした運用を始めたのです。

 ホテル療養で活躍するのが、やはり開業医です。すでに昨年4月から「ホテル回診」を実施。医師会の医師たちが手分けしてホテルに出向き、レストランを詰め所として利用、各部屋の療養者をオンラインで画面越しに診察します(医師はパソコンで、患者はスマホの画面で)。直接会って診察しないので聴診器は当てられませんが、映像と音声から、体がしんどくて座っているのがつらそうだったり、寝たままで起き上がれなかったり、といった状況も分かります。

 現在は京都市内の二つのホテルに療養者がおり、医師会から毎日、2~3人の医師がホテル回診を担当。これまでに95人が参加しました。基礎疾患があるなど症状が重い患者が入るホテルでは、今年5月から京都府立医大病院などの医師が毎日夜9時から翌朝7時まで当直。さらに酸素ボンベ数台もホテルに運び入れ、入院待ちの患者に装着してもらっています。

 「開業医がホテルの各部屋を訪ねて対面で回診するとなると、その都度、着脱が大変な防護服を着なければならず、感染リスクも生じてしまう。オンライン診療なら、医師自身の安全に配慮しながら患者の命を守れます。この方式を採用したことで、より多くの開業医が積極的に参加することが可能になった。アイデア次第だと思うんです」と谷口さん。

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2107793 0 なるほど!医療 2021/06/08 10:00:00 2021/06/08 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210604-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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