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医師の行動原理「プロフェッショナル・オートノミー」、コロナ禍の今こそ発揮せよ

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編集委員 山口博弥

 5月下旬の本紙 朝刊1面の記事 で、私は「プロフェッショナル・オートノミー」について触れました。聞き慣れない言葉だと思うので、このコラムでもう少し詳しく書きましょう。

 英語で書くと、Professional Autonomyで、「職業的自律」「専門職としての自律」などと訳されます。世界医師会は、「個々の医師が診療に際して、外部の第三者ないし個人から不当あるいは不適切な影響を受けることなく、自らの専門的判断を自由に行使するプロセス」と説明しています。

カルテ開示法制化に反対の医師から、初めてこの言葉を知る

日本医師会などの反対で、カルテ開示の法制化が困難になったことを伝える記事(1999年6月23日付夕刊)
日本医師会などの反対で、カルテ開示の法制化が困難になったことを伝える記事(1999年6月23日付夕刊)

 私がこの言葉を初めて知ったのは、弊社で医療取材を始めて1年余りが過ぎた1999年でした。当時、「カルテ開示の法制化」が厚生省(現・厚生労働省)で検討されていました。患者が自分のカルテ(診療録)を見たいと望んだ場合、医療機関による開示を法律で義務づけるかどうか、という議論です。

 多くの患者団体や法律家は、こぞって法制化に賛成しました。読売新聞を含む各全国紙がすべて、社説で賛成の見解を示していたのをよく覚えています。しかし、日本医師会は、開示には賛成しつつも、法制化には「医師の職業倫理にゆだねるべきだ」と強く反対しました。この一連の議論の中で、プロフェッショナル・オートノミーという言葉が医師の口から何度か出てきたのです。

 私が取材した日医の理事は、こう話していました。

 「医師会で指針を作り、情報をどんどん提供し、患者のための苦情処理機関も作ります。それを法でやれ、というから、侮辱されたような気がするんです」

 要は、プロフェッショナルである自分たち医師がきちんと情報を開示するから、法律で規制なんかするな、ということですね。

 2003年4月、厚労省の検討部会は法制化を見送りましたが、05年4月に施行された個人情報保護法で、カルテ開示は原則義務づけられたのです。

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2180613 0 なるほど!医療 2021/07/06 10:00:00 2021/07/06 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210702-OYT8I50045-T.jpg?type=thumbnail

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