コロナ・禁煙・マイバッグ…ニューノーマルあれこれ

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編集委員 山口博弥

 7、8年前、お昼に時々通うカレーの店がありました。ビールを入れて煮込んだルーにはコクがあり、大きな鶏肉がゴロゴロ入っています。たんぱく質をたくさん摂取したい私にとっては、うれしいお店でした。

屋内禁煙は社会の常識に…改正健康増進法のおかげ

せっかくのおいしいカレーが、たばこの煙で台無しになっていました
せっかくのおいしいカレーが、たばこの煙で台無しになっていました

 ただ、残念なことが一つ。「喫煙可」の店だったのです。店内はいつもたばこ臭く、食べている最中にも、食後に一服する人の煙がこちらに漂ってくる。せっかくの味が台無しです! だから、混む時間帯をなるべく避け、11時半や14時前に行ったものです。

 先日、久しぶりにその店に足を運びました。入り口のドアのそばには、「禁煙」のステッカーが! 店に入ると、たばこの臭いも煙も一切ありません。おかげで、ストレスを感じることなく、気持ちよく食事をすることができました。昨年4月に全面施行された改正健康増進法のおかげです。

 11月28日付の読売新聞朝刊に掲載された 「広角多角」 で、私は新型コロナウイルスのパンデミック下の「ニューノーマル(新常態)」について触れました。コロナ禍の陰に隠れてはいますが、多くの飲食店やホテルなどで屋内が禁煙になったことは、たばこの副流煙による健康被害を減らすためにも、歓迎すべきニューノーマルと言えるでしょう。しかもそれは、もう以前の状況に戻ることは考えにくい、不可逆的なニューノーマル。すでに、屋内禁煙は社会のノーマル(正常、常態)になったわけです(関連記事 「コロナはたばこで重症化? 元喫煙者の私から禁煙のススメ」 )。

エコバッグは定着、節電は意識薄らぐ

レジ袋有料化を知らせる掲示と、荷物をマイバッグに入れる女性客(2020年7月1日、高知市で)
レジ袋有料化を知らせる掲示と、荷物をマイバッグに入れる女性客(2020年7月1日、高知市で)

 最近の不可逆的なニューノーマルは、ほかにもあります。マイバッグ(エコバッグ)もその一つ。地球温暖化やプラスチックごみ廃棄といった環境問題が深刻化している中、昨年7月からのレジ袋有料化で、買い物の時にマイバッグを使う習慣は、あっという間に国民に広がりました。

 以前の私はというと、たとえば、職場近くの書店で本を買うとき、当然のように無料のレジ袋に入れてもらい、代金を支払い、自席に座ると、もうレジ袋はゴミ箱にポイ、でした。わずか5分ほどしか袋として使っていない。どう考えても資源の無駄です。思い返すと、当時の環境問題への意識の薄さに自分自身、がくぜんとします。マイバッグの携帯・利用は社会の当然の成り行きであり、すっかりノーマルになりました。

 一方、時間がたつと元に戻ってしまう、可逆的なニューノーマルもあります。

東日本大震災後、節電のためネオンが消え、人もまばらな新宿駅東口(2011年3月15日夜)
東日本大震災後、節電のためネオンが消え、人もまばらな新宿駅東口(2011年3月15日夜)

 2011年3月に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故。数日後、東京電力は計画停電に踏み切りました。駅や百貨店など街中の照明が一斉に暗くなり、企業活動や交通機関に大きな影響が出ました。

 あの時、多くの国民が新常態に適応すべく覚悟を決め、各家庭で節電に励むなど行動を変えました。原発事故のショッキングな映像と相まって、私はある種の悲壮感とともに、「ああ、日本はこれから変わってしまうのか」と覚悟したのを覚えています。しかし、間もなく電力危機を脱したことで、国民の節電意識は次第に薄れていきました。あれから10年が過ぎた今、駅も百貨店もコンビニも、こうこうと照明がともっています。あの時のニューノーマルは一時的なもので終わり、定着しませんでした。

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2557212 0 なるほど!医療 2021/11/30 10:00:00 2021/12/01 09:41:15 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/11/20211126-OYT8I50045-T.jpg?type=thumbnail

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