衆院選 出口調査から探る明暗の背景<上>

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大阪本社社会部(元東京本社世論調査部) 竹上史朗

 2021年の最大の政治決戦となった第49回衆院選は、第1党、第2党とも議席を減らすという異例の結果だった。与野党各党の「明暗」の背景には何があったのか。読売新聞社と日本テレビ系列各局が行った出口調査などから探った。

立共共闘路線に「バツ印」

開票センターで、明るい表情でインタビューに答える岸田首相(10月31日、東京都千代田区で)
開票センターで、明るい表情でインタビューに答える岸田首相(10月31日、東京都千代田区で)

 選挙結果をおさらいすると、自民党は、公示前から15議席減らしたが、追加公認を含めて261議席を獲得。公明党を合わせると、与党で293議席に達した。立憲民主党は14議席減らし、96議席と大敗した。日本維新の会はプラス30議席となる41議席で第3党に躍進した。

 焦点の一つは、共産党と競合する選挙区で候補者調整をして臨んだ立憲民主党が、どれだけ与党に迫ることができるかだった。

 289小選挙区のうち、与野党一騎打ちは132選挙区。結果は、与党94勝、野党38勝で、立民の完敗だった。

 局地的にはいろんな方向の風が吹いていたとは言え、立民の共闘路線は、議席を減らしたことで、おおむね有権者から「バツ」を付けられたことになろう。その理由の一端は、出口調査でも見て取れた。

「有権者の望む政策」のギャップ

野党共闘で臨むも議席を減らし、汗を拭う立憲民主党の枝野代表(当時)(10月31日、東京都港区で)
野党共闘で臨むも議席を減らし、汗を拭う立憲民主党の枝野代表(当時)(10月31日、東京都港区で)

 出口調査で分かった立民の敗北のポイントは、「政策」と「比例選」の2点だ。

 まずは「政策」。出口調査では、「争点として特に重視した政策」を11項目から一つ選んでもらう形で聞いた。

 全体では「景気対策」が20%でトップだった。以下、「新型コロナ対応」14%、「外交・安全保障」13%、「子育て・教育政策」12%、「社会保障の充実」11%、「格差是正・貧困対策」10%などが続いた。

 「重視した政策」の順位を支持政党別にみると、違いがあらわになった。

 自民、維新、国民民主党、れいわ新選組など多くの政党の支持層で最も選んだ人が多かったのは、「景気対策」。無党派層でも「景気対策」がトップだった。

 これに対し、立民、共産両党の支持層はともに「格差是正・貧困対策」が最も多かった。

 選挙戦では、立民、共産に限らず、与野党ともに景気対策を強く訴えており、さながら「バラマキ合戦」と化していたが、出口調査全体では、「格差是正・貧困対策」を選んだのが11項目中6番目の10%しかなかったことを考えれば、立民、共産支持層のニーズが、無党派を含めた有権者全体のニーズからは隔たっていたことがうかがえる。

 国政選では特に、選挙を勝ち抜くためには、無党派層を取りこんで幅広い支持を得ることが必須だ。立民、共産両党は、党の支持者を重視して政策を訴えれば、無党派層から離れてしまい、無党派層を重視すれば、自らの支持層から見放されかねない。図らずもそんな難しい立ち位置にいたと言えそうだ。

 実際、出口調査の比例選投票先からも、野党の失速は見て取れた。

 前回2017年衆院選当時は、選挙直前に民進党が立民と「希望の党」に分裂した。その際、「立民」に投票したと答えたのは20%、「希望」と答えたのは16%で計36%だった。

 今回は、「立民」は19%、希望の党を継いだ「国民」は5%で計24%止まり。一見すると、立民は前回からほぼ変わらないように見えるが、前回希望の党から出馬した候補の多くが、今回は立民から立候補したことを考慮すれば、

 「立民+希望の計36%」-「立民+国民の計24%」=12ポイント分が流出して、他党に流れてしまったとみてよいだろう。

 比例選で、無党派層の動向を見ると、さらにその傾向は顕著になる。

プロフィル
竹上 史朗( たけがみ・しろう
 20年を超える記者生活の多くで、選挙報道を担当した。出口調査の分析なども行っている。世論調査部で衆院選準備を担当、12月からは古巣の大阪本社に戻り、引き続き選挙報道に携わる。46歳。

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使い方
2617143 0 「世論」を見る 2021/12/22 10:00:00 2021/12/23 10:20:12 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/12/20211217-OYT8I50036-T.jpg?type=thumbnail

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