読売新聞オンライン

メニュー

「政局になると血が騒ぐ」安倍氏に「再々登板」論…キングメーカーの胸中は?

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

政治部デスク 芳村健次

 安倍晋三・前首相がすこぶる元気だ。

 持病の悪化による昨年9月の退陣から1年もたたないが、議員連盟の顧問などに次々と就き、積極的にメディアで発言してニュースを振りまいている。

 中でも永田町がざわついたのが、5月21日に開かれた「半導体戦略推進議連」だ。安倍氏、麻生太郎・副総理兼財務相、甘利明・税制調査会長。官房長官だった菅義偉首相を合わせ、「3A+S」と呼ばれた安倍政権の中核メンバーがひな壇に並んだ。

「半導体戦略推進議員連盟」の設立総会に出席した(左から)甘利、安倍、麻生の3氏(5月21日、自民党本部で)
「半導体戦略推進議員連盟」の設立総会に出席した(左から)甘利、安倍、麻生の3氏(5月21日、自民党本部で)

 「A、A、A。3人そろえばなんとなく政局っていう顔だが、間違いなく半導体の話をしに来た」

 麻生氏はこうおどけたが、額面通りに受け取る向きはない。秋の自民党総裁選やその後の人事をにらみ、3Aの結束を党内に見せつける思惑があったのは明らかだ。その中心にいるのが「政局になると血が騒ぐ」という安倍氏だ。

 新型コロナウイルス対応で菅首相が苦戦する中、一部の若手議員らは、首相在任中に選挙にめっぽう強かった安倍氏の復活を期待している。史上最長の首相在任日数を誇るものの、安倍氏は66歳。72歳の菅首相より6歳若く、総裁に意欲を示す岸田文雄・前政調会長(63)、石破茂・元幹事長(64)と同年代だ。「再々登板」も荒唐無稽ではなさそうだが、当の本人には今のところ、その気はない。

花束を手に首相官邸を後にする安倍前首相(2020年9月16日)
花束を手に首相官邸を後にする安倍前首相(2020年9月16日)

 政権終盤、「桜を見る会」を巡る問題や新型コロナ対応で、安倍氏は激しい批判にさらされた。退陣してストレスから解放されたことで、体調はすっかり回復した。「また表に立って批判を浴びるより、キングメーカーとして力をふるう方がいい」。安倍氏の心境はそんなところだろう。

 次期衆院選後に、安倍氏が党内最大派閥・細田派の 領袖(りょうしゅう) を引き継ぐのは既定路線となっている。第2派閥の麻生派と連携すれば、政局の主導権を握るのはたやすいかもしれない。すでにキングメーカーを思わせる発言も目立ち始めた。5月3日のテレビ番組では菅首相の総裁続投支持を明言し、月刊誌では「ポスト菅」候補として茂木敏充外相、加藤勝信官房長官、下村博文政調会長、岸田氏の4人の名前を挙げた。

記者会見する自民党の二階幹事長(自民党本部で)
記者会見する自民党の二階幹事長(自民党本部で)

 面白くないのは、現在、キングメーカーと言われる二階俊博幹事長だ。昨年の総裁選でいち早く菅支持を打ち出した二階氏は、安倍氏の精力的な動きに不快感を示している。

 2019年参院選を巡る大規模買収事件で有罪が確定した河井案里氏側に党本部が支出した1億5000万円について、二階氏は5月24日の記者会見で「(決定したのは)党総裁と幹事長だ。組織上の責任は我々にある」と語った。当時の総裁とは、もちろん安倍氏。「わざわざ『総裁』に触れたのは、二階氏の安倍氏へのけん制」との見方がもっぱらだ。

 総裁選後を見据えた新旧キングメーカー対決は今後、激しさを増しそうで、党内は2人の動きをハラハラしながら見守っている。2人のはざまで、肝心の菅首相の存在感は、限りなく薄い。

プロフィル
芳村 健次( よしむら・けんじ
 政治部次長。1997年4月入社。横浜支局などを経て、政治部で小泉純一郎首相の総理番に。首相官邸や自民党、防衛省などの取材も手がけ、現在はデスクとして主に政局を担当する。

無断転載・複製を禁じます
2121273 0 デスクの目~政治部 2021/06/14 15:00:00 2021/06/14 15:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210610-OYT8I50005-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)