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編集委員 祐成秀樹

今年の舞台芸術界の最大のニュースの一つは、世界トップクラスのバレエ団である、英国ロイヤル・バレエ団の元プリンシパル・吉田都さんが新国立劇場の舞踊芸術監督、すなわち新国立劇場バレエ団の芸術監督に就任したことです。実力は高くても知名度がイマイチな日本唯一の国立バレエ団が大きく飛躍するきっかけになりそうです。そこで、今回は吉田都さんと新国立劇場バレエ団にスポットライトを当てます。
魅力が説明しにくいバレエ団
日本のバレエ団について質問されると、私は以下のように答えます。まずは東京バレエ団。「巨匠振付家モーリス・ベジャールの作品が得意で世界各地で公演。海外ではいちばん有名な日本のバレエ団です」。Kバレエカンパニーについては「スーパースターの熊川哲也さんが主宰。豪華で劇的な舞台が新制作される度に話題になる。日本でいちばん人気があるんですよ」。
では、新国立劇場バレエ団は?「コール・ド・バレエ(群舞)の美しさは世界有数」「スタイルのいいダンサーがそろっていて古典がうまい」など、レベルの高さを説明できても、バレエファン以外には分かりにくい。ところが、吉田さんが芸術監督に就任して「顔」ができた。「吉田都さん率いるバレエ団」と説明できるようになったのです。