上野水香が励ましの「ボレロ」、新国立の生配信が好評…元気もらった「正月バレエ・ガラ」
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コロナ禍が収まらない2021年の観劇始めは、二つのバレエ・ガラでした。緊急事態宣言再発令から2日後に開かれた1月9日の東京バレエ団の「ニューイヤー祝祭ガラ」。そして、無観客でオンライン配信された11日の新国立劇場バレエ団の「ニューイヤー・バレエ」です。いずれも、ダンサーたちの気迫が感じられた素晴らしい公演でした。そこで、今回は「二つの正月ガラ」にスポットライトを当てます。
東京バレエ団は、海外で最も有名な日本のバレエ団です。巨匠モーリス・ベジャールの作品を目玉に、毎年のように海外ツアーを行っています。2015年に斎藤友佳理さんが芸術監督に就任して勢いを増しています。彼女は元看板ダンサーで、ロシアの大学院でバレエ教授法を修めた名指導者なのです。
元気が出るバレエ・ガラ 東京バレエ団

例年、正月公演は行っていませんが、昨年末に急きょ開催が発表されました。キャッチコピーは「不安な時代にエールを贈る、“元気が出るバレエ・ガラ”!」。いいじゃないですか!
7日に2度目の緊急事態宣言が出ましたが、すでに販売したチケットについてはキャンセル不要とされました。これは、感染者を劇場から出さないように、業界を挙げて行った努力が認められた成果と言えるでしょう。厳重な感染防止対策を敷いて東京文化会館で無事開幕しました。
力いっぱいの跳躍 かおり立つ華

冒頭は「セレナーデ」。チャイコフスキーの「弦楽セレナード」のバレエ版です。次々とわき上がる珠玉のメロディーを、女性たちの
上野水香が放った「光」

圧巻は、スターの上野水香さんが主演したベジャールの傑作「ボレロ」。ラベルの名曲を、赤い円卓上のソリストと、周囲の大人数のダンサーが視覚化していく。シンプルなだけに、ソリストによっても、その時の世情によっても見え方が違います。11年11月、東日本大震災で被災した福島県いわき市で、シルヴィ・ギエムさんが踊った同作を見たことがありますが、その時は、祈りの「ボレロ」。
今回は、励ましの「ボレロ」でした。心に残ったのは前半部。舞台上から降り注ぐ光を、上野さんがまぶしそうに見上げ、それを取り込むように両腕を