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埼玉をカリフォルニアに? 次期芸術監督・近藤良平の明るい野望

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編集委員 祐成秀樹

 巨匠・蜷川幸雄さんが2016年に亡くなった後、空席になっていた彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に、ダンサー・振付家の近藤良平さんが来年4月に就任することが決まりました。型破りなダンス作品で世界中の人々を笑わせてきた異才です。「世界のNINAGAWA」が大きく育てた、さいたま芸術劇場、そして埼玉県を面白くしてくれることは間違いありません。そこで、今回は近藤良平さんにスポットライトを当てます。

近藤良平さん
近藤良平さん

 近藤さんは1968年生まれ。子供時代は、商社マンの父親が赴任したペルーやチリ、アルゼンチンで過ごし、サッカーと民族楽器に親しみました。中学校入学前に帰国。高校では、抜群の運動神経を生かして男子体操部を結成しました。ただ、ストイックに体を鍛えていただけでなく、新入生歓迎会では、少年隊の「仮面舞踏会」に合わせてバック転を取り入れて踊ったら大受けして大量の新入部員が集まったとか。

 横浜国大に進むとモダンダンス部に入部。ここでも、踊っていただけでなく、4年時に休学してスペイン、ポルトガルなど放浪しました。その辺のいきさつは、自伝本「近藤良平という生き方」(エンターブレイン)に書かれているので読んでみてください。普通の人と違う発想をしていることが分かります。帰国後は就職せず、96年にコンドルズを結成。東京・早稲田の安アパートに出入りしていた大学ダンス部OBらが「メチャクチャなことをやろう」と意気投合したのです。

学生服の男たちが爆笑ダンス

様々な体形の男たちが学生服姿で踊るコンドルズ(C)HARU 2005年
様々な体形の男たちが学生服姿で踊るコンドルズ(C)HARU 2005年

 私がその存在を知ったのは、文化部の舞踊担当になって間もない2000年のこと。当時はダンスの知識がなく、難解そうなコンテンポラリーダンスは敬遠していました。しかし、コンドルズの公演チラシを見て心が動きました。ぽっちゃりした男性の顔をアップにした写真を載せて「コンドルズ 真夏の激情 オレ、オクダ」と書いているだけ。裏面を読むと、コンドルズとは、学生服を舞台衣装にして笑わせるダンスカンパニーで、この男性はオクダサトシというメンバーだと分かりました。この公演は見逃しましたが、その次は見られました。銀座の博品館劇場で上演した「ハートに火をつけて特別(へん)」です。

コンドルズの舞台にはコントのような場面も(C)HARU 2019年
コンドルズの舞台にはコントのような場面も(C)HARU 2019年

 それが衝撃的でした。あまりにもダンス公演らしくなかったのです。大音量のロックに乗ったエネルギッシュな群舞など踊りの見せ場はありますが、同じ熱量でコントや人形劇、映像、生演奏も繰り広げたのです。メンバーもダンサーっぽくない。巨漢のオクダさん、スキンヘッドの2人、やたらよくしゃべる人、小柄の地味な人――。それでもみんな楽しそうに踊っているのです。ともかく、笑い転げ、幸せな気分で会場を出ました。

21世紀に大ブレイク 世界ツアー・サラリーマン体操・ご当地盆踊り

初めて本紙に登場した近藤良平さん 2000年
初めて本紙に登場した近藤良平さん 2000年

 折しも、その翌年から21世紀。紙面では、エンタメ各界の期待の星を特集する連載「新世輝」を行い、私はダンス界代表として近藤さんをインタビューしました。写真は大手町のオフィス街で撮影しました。ジャンプしている姿を撮りたいというカメラマンのリクエストに応じて、学生服姿の近藤さんは嫌な顔もせず何回も跳びはねてくれました。結局、紙面に載ったのは踊っている写真でしたが。

東京・池袋を盛り上げた「にゅ~盆踊り」 2017年
東京・池袋を盛り上げた「にゅ~盆踊り」 2017年

 それから、コンドルズも近藤さんも大ブレイクしました。コンドルズは、国内外のツアーをガンガン行い、06年からは、さいたま芸術劇場で公演を始めました。近藤さんは振付家として、NHKで「テレビサラリーマン体操」、連続テレビ小説「てっぱん」のオープニングを手掛けたり、野田秀樹さん、長塚圭史さんらの演劇作品、三池崇史監督や前田哲監督の映画に関わったり。また、東京・池袋の「にゅ~盆踊り」を始め、「ご当地盆踊り」を振り付けるために全国各地を飛び回りました。障害者や子供と一緒に踊る公演にも挑戦しました。

人の心をつかむ天才

 気付けば、近藤さんはとんでもなく多忙になっていましたが、取材などで会うと、全く変わりません。人懐っこく、ひょうひょうとしていて、ユーモアを欠かさない。しゃべっても踊っても、人の懐にもすっと入って、心をつかんで楽しませます。だからこそ、芸術監督として、何かやってくれそうな気がするのです。

 そう考えたのは、私だけではないようです。3月末に近藤さんをインタビューした時に聞いたことなのですが、就任オファーを受けた時、芸術監督の役割がよく分からず、「そう言われてもなあ」と困ったそうです。そこで何人かの知人に相談しました。すると、誰もが「おお、すげえ」「絶対、やろうよ」などと喜んでくれたとか。

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2001989 0 スポットライト 2021/04/22 10:00:00 2021/04/22 10:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210420-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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