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真珠の輝きと圧倒的な華…舞踊歴70年、森下洋子の「白鳥の湖」

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編集委員 祐成秀樹

 私の最近の大仕事といえば、本紙の名物連載「時代の証言者 森下洋子さん編」(まとめ読みは こちら )の取材と執筆で、7月7日に32回分の連載が完結しました。個人的には興奮冷めやらぬ中、10日に森下さん率いる松山バレエ団が東京で上演した新「白鳥の湖」を見ました。森下さんの舞踊歴70周年記念公演でもあり、生涯の師である松山樹子さんの追悼公演という気合の入った舞台でした。そこで、今回は、森下さんと「白鳥の湖」にスポットライトを当てます。

 「白鳥の湖」は、チャイコフスキーが作曲した4幕のバレエです。主演バレリーナはオデットとオディールの2役を踊り分けます。オデットは悪魔ロットバルトの呪いで白鳥に姿を変えられた。湖畔で王子と出会い、やがて愛し合います。対するオディールは悪魔の手下。オデットとそっくりの外見で王子の心を奪ってしまいます。

主演は15歳から1000回以上

 森下さんが「白鳥の湖」の全幕公演でオデット/オディール役を初めて務めたのは1964年で15歳の時でした。以来、主役を1000回以上務めましたが、94年を境に踊りの種類が変わります。当初は、プティパ=イワノフ演出版という現在もっとも多く見られるバージョンを基にした踊りでしたが、94年に夫の清水哲太郎さんが演出・振り付けした新「白鳥の湖」が初演されてからは、同作の振り付けを踊り続けています。

 清水演出版の特長は、チャイコフスキーが構想した通りの曲順を生かして、壮大なドラマが繰り広げられること。物語の舞台を神聖ローマ帝国に設定し、帝国乗っ取りを目指す悪魔ロットバルトに立ち向かう王子とオデットという構図を明確にしたのです。圧倒的な強さの悪魔に対し、正義の2人が苦しみつつも力を合わせて最後に勝つ。オデットと王子に、観客は時々の悩みを投影できるので、いつ、いかなる場所で見ても感動を呼ぶのです。

現代の不安とリンク 衝撃的なプロローグ

 オープニングは独特です。昨年8月の公演から衝撃的なプロローグが追加されたのです。チャイコフスキーの交響曲第5番の穏やかなホルンソロに乗せて、王子の誕生と成長という輝きに満ちた場面が続きますが、曲調が不穏になると、ロットバルトが娘たちを捕らえて怪鳥の姿に変えるおぞましい場面に切り替わるのです。繁栄の裏側で崩壊の危機が迫るという、現在の多くの人が感じているだろう不安と重なります。

第1幕はきらびやかな中に不安感がただよう (C)エー・アイ 撮影・飯島直人
第1幕はきらびやかな中に不安感がただよう (C)エー・アイ 撮影・飯島直人

 その印象が脳裏に刻まれると、第1幕は虚飾の世界に見えました。豪華に飾られた宮廷の ()() 庭園で皇太子の (たい)(かん) を祝う舞踏会が繰り広げられるのですが、そびえ立つきらびやかな装置と背後に広がる冷ややかな青さの背景のコントラストが際だって見え、帝国の繁栄が束の間のものと感じられるのです。その不安を、清水版独特のロットバルトの暗躍が強めます。彼は豪華な装束の貴人になりすまして王子にすり寄り、陥れようとするのです。

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2206621 0 スポットライト 2021/07/15 10:00:00 2021/07/15 10:06:24 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210713-OYT8I50071-T.jpg?type=thumbnail

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