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ゆがむ心の時計 「人間の時間」に希望

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大阪本社文化部次長 稲垣収一

 昨年来の「ステイホーム」中によく読まれている児童書の一つが、ドイツの児童文学者ミヒャエル・エンデの童話『モモ』=写真=(岩波少年文庫、大島かおり訳)だろう。少女モモが人間の時間を奪う「灰色の男」たちに、戦いを挑む物語である。

 モモは話を聞くだけで相手に希望を与える不思議な力を持つ。人間らしい心を象徴する存在だ。灰色の男たちにそそのかされて効率ばかりを求め、心の豊かさを失う人間たちの姿には、文明への痛烈な批判が込められる。

 1976年に岩波書店が刊行したロングセラーだが、テレビ番組で度々紹介されたこともあり、昨年1年間の発行部数は単行本版を含めて14万超と、実に例年の約4倍に上った。コロナ禍で否が応いやおうでも時間の使い方や人と人の距離感を考えさせられたことが、人気の背景にはあるようだ。

 2度の緊急事態宣言で「時間を奪われた」感覚を持った方もおられよう。

 昨年調査が行われた「セイコー時間白書2020」によると、コロナ禍で生活が変化したという人のうち、仕事時間の経過が速いと感じる割合は、リモートワーク中の人が43・5%で、そうでない人の23・6%を大きく上回った。時間のメリハリを付けにくいのが理由らしく、言われてみれば確かにそんな気もする。

 例えば「ド・ド・ド・ソ・ド・ド・ド」と音を鳴らすと、同じ時間でも「ソ」だけが長く聞こえることがある。変化の有無によって時間の体感速度が異なるという錯覚で、「オッドボール(変わり者)効果」とも呼ばれる。つまりは心の時計がゆがんでしまうのかもしれない。

倒壊した高速道路
倒壊した高速道路

 阪神大震災からきょうで26年になる。被災地が重ねた歳月を思う時、止まったままの心の時計もあるのだと改めて気付かされる。

 昨年末、神戸市のNPO法人「よろず相談室」代表の牧秀一さん(70)が出版した被災者の証言集『希望を握りしめて』(能美舎)には、震災で肉親を失った人、障害を負った人らの重い日々が刻まれる。四半世紀の間、仮設住宅や災害公営住宅(復興住宅)で高齢者らの見守り活動を続けた牧さんが、今春で代表を退くのを前に18世帯26人の「生」を記録した集大成だ。

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1777696 0 広角多角 2021/01/18 11:18:00 2021/01/18 11:36:01 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210118-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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