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ひとりじゃない 君の背中にも…

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編集委員 森川暁子

戸澤文生さん
戸澤文生さん

 以前この欄で孤独のことを書いたので、きょうは、その逆の話を書こうと思う。

 千葉県船橋市立七林中学で国語を教える戸澤文生さん(61)を久しぶりに訪ねた。今は定年後の再任用で教壇に立つ戸澤さんは、担任を持っていたころ、ずっと続けていたことがあった。3年生で受け持って送り出した卒業生たちの誕生日に、毎年はがきを書くことだ。教え子が20歳になるまで5年続けた。最後の1通は封書で、卒業前に本人が書いた「5年後の自分へ」という作文を同封した。

 便りに決まって添える言葉は、<少し我慢して、長く続けよう>。そして<君の背中に声援あり>だ。いずれも、職場の先輩に教わった言葉だそうだ。返信は多くなかったが、「返事がないのは、僕の声援が必要ない子だと思います」と、淡々と書き続けた。

「誕生日の定期便」に書かれた戸澤さんからのメッセージ
「誕生日の定期便」に書かれた戸澤さんからのメッセージ

 記者は以前、戸澤さんの教え子たちの何人かに、この「誕生日の定期便」の感想を聞いたことがある。特段の感慨なく受け取ることがある一方で、高校の部活について行けないと思ったときや、受験勉強に悩んでいたタイミングで届いた便りに力がわいた、就職して仕事に戸惑っていたときに思い出した、という話がいくつも出てきた。

 相手の心に届くことも、届かないこともある。応援って、そういうものかもしれない。でも、苦しいときに背中からふいに聞こえた声に、人は励まされる。

 孤独の逆は、「ひとりではない」だと思う。

 そして、思いもよらない瞬間に、ひとりではないと感じる出会いがあるのだと知った。

「二平方メートルの世界で」(文・前田海音、絵・はたこうしろう、小学館より)
「二平方メートルの世界で」(文・前田海音、絵・はたこうしろう、小学館より)

 先月出版された「二平方メートルの世界で」(小学館)という絵本は、札幌市立伏見小5年生の前田海音みおんさん(10)が3年生のときに書いた作文がもとになっている。優しくて少し静けさのある絵は、はたこうしろうさんが描いた。

 前田さんは病気のために、ときどき入院をしなければならない。二平方メートルは、病室のベッドの広さだ。

 自分だけでなく家族も大変だということや、他にもいろんな病気で入院している子がいることをわかっているから、孤独でも、もういやだと思っても、口に出せないでいる。

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2057743 0 広角多角 2021/05/17 14:38:00 2021/05/17 14:38:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/05/20210517-OYT8I50005-T.jpg?type=thumbnail

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