読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

対コロナ「敗戦」、英スパイ小説家ル・カレの冷徹さに学べ

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

編集委員 片山一弘

 英国スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレが昨年末、世を去った。彼が残した作品群はスパイといっても007のような派手なアクションではなく、人間とその社会についての深い洞察に基づく展開に特長がある。

ジョン・ル・カレ著「スクールボーイ閣下」(ハヤカワ文庫)
ジョン・ル・カレ著「スクールボーイ閣下」(ハヤカワ文庫)

 代表的な主人公が、老練な英国情報部員ジョージ・スマイリー。映画「裏切りのサーカス」の原作でもある「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(ハヤカワ文庫)で、スマイリーは情報部の中枢に巣くった二重スパイを突き止めることに成功するが、その代償として組織は壊滅的な打撃を受ける。

 そして、続編「スクールボーイ閣下」(同)で情報部の責任者に就任したスマイリーは、立て直しの第一歩として、二重スパイが組織内で行った工作の足跡を遡り、敵の黒幕のはかりごとを突き止めようとする。

 反撃の手がかりは敗北のありようの中にこそある、というわけだ。

 近ごろ新型コロナウイルス、特にワクチン関連のニュースで、しばしば「敗戦」の2字を見かける。

注射器に移される新型コロナウイルスのワクチン
注射器に移される新型コロナウイルスのワクチン

 イスラエルや英米などワクチン接種で先行した国々は、感染抑制に目覚ましい成果を上げている。日本では国産ワクチンがいまだ完成を見ず、輸入ワクチンの接種でも大きく差をつけられている。

 ではそれらの国々は、いかにしてワクチンの早期接種を実現したのか。関連報道に目を通すと、着手の早さと徹底ぶりが目につく。

 例えばBBCの日本語版サイトに3月29日に公開された記事「イギリス政府はパンデミックとどう闘ったか 1年間の舞台裏」では、英国政府が昨年の早い段階から巨額の資金をワクチン開発につぎ込むと決めたこと、それが賭けに近い判断であったことが強調され、有力官僚の一人は「納税者の税金をあれだけ使って、成功しなかったら、どうなっていたことやら」と語っている。仮に、同時期に日本政府が同じ賭けに打って出ようとしたら国民はどう反応しただろうか、と考えると興味深い。

残り:879文字/全文:1920文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2122943 0 広角多角 2021/06/14 14:26:00 2021/06/14 15:46:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210614-OYT8I50027-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)