厳しい氷河期世代…正社員の「椅子」、コロナ禍で再び遠く

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経済部デスク 山下福太郎

 切ない不祥事である。5月31日、神戸市の男性職員(44)が懲戒免職になった。約20年前、大卒であることを隠し、受験資格が高卒以下の採用試験に合格していたためだ。市に匿名の通報が寄せられた。職員は「合格しやすいと思った」と弁明したが、市は「高卒者の就業機会が一人分失われた」ことを重く見た。(記事は こちら

 実はこうした学歴を低く偽る不正で定年を迎えられずに同市役所を去った職員は、これまでに約50人に上る。大阪市や横浜市でも数百人規模で発覚している。その多くを就職環境が極めて厳しかった1993~2004年頃に大学を卒業した氷河期世代が占める。

 就活は椅子取りゲーム。神戸市の隣、兵庫県宝塚市の女性職員(47)はそう例える。新卒時に就職に失敗すると正社員の椅子には別の人が座り、自分は一生座れない――。この職員は大卒後の二十数年間、ほぼ女手一つで子育てをしながら非正規の職を転々とした。

宝塚市が実施した氷河期世代の中途採用の試験会場(2019年9月)
宝塚市が実施した氷河期世代の中途採用の試験会場(2019年9月)

 一昨年、宝塚市が全国に先駆けて実施した氷河期世代対象の採用試験に合格した。4人の採用枠に応募者は1816人。その一つに座れた自分は幸運だったと感じる。辞令交付式で当時の中川智子市長からかけられた言葉を胸に秘める。「どうか健康に気を付けて定年まで勤めてくださいね」

 「第2の氷河期世代を生まない」。コロナ禍が拡大して以降、経団連は積極的な新卒採用を強く各企業に働きかけている。バブル崩壊後の十数年、終身雇用制度のもとで多くの企業が中高年社員の雇用維持を優先し、新卒者が座るはずだった椅子の数を絞りすぎた――。「氷河期」の生みの親としての深い反省が背景にある。

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