[論点スペシャル]横断歩道のそば 対策は #危険なバス停

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 横断歩道のそばに存在する「危険なバス停(※)」は、バスの停車中に道路を渡る歩行者が、周囲を行き来する車にはねられるリスクをはらむ。ただ、各地に点在する危険なバス停の実態は今も把握できていない。必要な対策を専門家に聞いた。

 

対処の順序 リスク評価で…関西大教授 安部誠治氏

 日本では明治末期に各地でバス事業が始まっており、100年以上の歴史がある。全国の路線バスの輸送人員は現在、1日に1200万人に上り、地域を支える重要な公共交通となっている。

 1960年代にマイカーが普及した時には、既に多くのバス停が設置されていた。つまり、バス停の設置時には自動車の往来が少なく、横断歩道や交差点に近いなどの危険性を考える必要はなかった。このため、輸送効率などを優先して設置されたと考えられる。

 だが、その後の交通量の増加に伴ってバス停のリスクも増大した。そして、昨年に横浜市で女児が犠牲になる痛ましい事故が起き、問題が顕在化した。全国に多数の危険なバス停があることが判明した以上、事故の防止策が求められる。

関西大の安部誠治教授
関西大の安部誠治教授

 もっとも、道路交通法など関連法の改正はハードルが高い。全てのバス停に対策を施すのは財源などの面からも無理がある。移設には住民の同意が欠かせないが、利用者が列を作り、たばこの吸い殻などのゴミが散乱しやすいバス停が自宅前にあることを歓迎する人は少ない。

 こうした状況で、現実的な対応として考えられるのは、全国のバス停周辺の危険性を個別に評価し、危険度の高いバス停から安全対策を講じることだ。

 まず、近くに横断歩道や交差点、小学校の出入り口があるなどの地理的条件を調べる。また、過去に発生した事故の件数、運転手のヒヤリハット事例の報告をまとめる。それらを考慮して、バス停ごとに危険度をランク付けする。古いバス停の中には、不適格なものも多いだろう。

 そして、このような評価をもとに、危険度が高いバス停から優先的に移設などに取り組んではどうだろう。バス事業者だけで移設するのは困難も予想される。道路を管理する自治体も協力し、バスの停車スペースを確保するための道路改修を行うなど、危険性の除去に取り組むべきだ。

 国は、横断歩道とバス停との距離について、全国的な統一基準を示す必要もある。現在は、地域によって基準がバラバラだ。バス事業者が移設を進めることを促すためにも、国が基準を示すことは有用になる。

 危険なバス停をなくすには、地域住民の理解が重要だ。住民によってはバス停が「迷惑施設」かもしれない。関係機関が連携して移設を進めるのは時間がかかる。一気に移設するのは現実的でなく、恐らく一つの自治体でせいぜい年に2~3か所だろう。それでも、着実に進めていくしかない。(社会部 土方慎二)

 あべ・せいじ 専門は交通政策論、公益事業論。バスやトラックの重大事故の原因を調査する国の「事業用自動車事故調査委員会」の委員なども務める。67歳。

 (※)危険なバス停 横断歩道のそばにバスが止まって交差点などに死角を作るバス停。横浜市で昨年8月、バスを降りて道路を渡ろうとした小学5年の女児が対向車にはねられて亡くなったほか、軽傷事故も起きている。読売新聞が今年8月に全国のバス協会などに取材したところ、こうしたバス停は16都府県で計441か所に上る。ただ、実態を把握していないバス協会も30を超え、国が現在、全国調査に乗り出している。

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907406 0 解説 2019/11/20 05:00:00 2019/11/20 09:45:45 2019/11/20 09:45:45 関西大の安部誠治教授 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191120-OYT8I50004-T.jpg?type=thumbnail

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