日常生活 感染防ぐには…政府基本方針

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 政府が25日にまとめた新型コロナウイルス対策の基本方針は、国民に感染拡大を防ぐための協力を強く求める内容となった。感染が広がるスピードを遅らせ、重症になる人を減らすために、私たちは今、どのような行動を求められているのか。

 

普段の診療 オンラインでも

タブレット型端末を使って患者と話す山下巌院長(東京都豊島区の山下診療所大塚で)
タブレット型端末を使って患者と話す山下巌院長(東京都豊島区の山下診療所大塚で)

 基本方針はまず、新型コロナウイルスによる感染症の特徴を明らかにしている。

 新型コロナウイルスは、高齢者や持病がある人を除けば、軽症で治ることが多い。発熱やせき、強いだるさといった風邪と似た症状が表れる。こうした症状は1週間程度続くことが多いとした。

 一般的に風邪なら2、3日で回復する。インフルエンザの場合は、38度以上の高熱に関節痛や筋肉痛が起き、回復まで1週間ほどかかる。インフルエンザウイルスが肺炎を直接引き起こすことはまれだ。新型コロナウイルスと異なり、ワクチンや治療薬がある。

 新型コロナウイルス感染者のこれまでの報告では、肺炎になっても重くならずに済んで治る場合と、急激に悪くなる場合とに分かれる。悪化すると短期間で症状が進み、人工呼吸器が必要になる。

 では、感染を疑う時に取るべき行動は何か。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が24日に公表した見解では、風邪のような症状があっても軽ければ、自宅で静養して回復を待つことを国民に要請している。37・5度以上の熱が4日間以上続く人や、じっとしていても息苦しい場合などは、帰国者・接触者相談センターに電話で相談してから受診することなどを求めた。

 ただ、インフルエンザなど他の病気の可能性もあり、不安やつらさを感じたら、かかりつけ医などに相談することも考えてほしい。

 また、政府は基本方針で、患者数が大幅に増えた時の外来対応も示した。

 感染すると重症化しやすい持病がある人への配慮として、多くの患者が集まる医療機関を直接受診しなくても、電話などの診療で処方箋を発行することなどを挙げた。

 「いつ、どこで感染したのか分からないケースが続いている。感染する機会を少しでも減らしたい」

 東京都内の50歳代の男性会社員は20日、スマートフォンを使ったオンライン診療を初めて受けた。高血圧の治療で長年通う山下診療所大塚(東京都豊島区)は、JR山手線の駅前にあり、人混みを避けては受診できない。診療の翌日には、いつもと同じ薬の処方箋が郵送で届いた。

 この診療所は以前から、オンライン診療を行っている。病名や受診歴などの条件を満たす必要はあるが、「通院による感染が心配」という理由で、すでに4人がオンライン診療を受けた。

 山下巌院長は「持病がある人は、より慎重に行動する必要がある。オンライン診療は、賢い手段の一つ」と話す。

 患者が増えた場合の外来対応には、一般の医療機関で直接診察することも想定した。通常の患者とは診療時間や動線を区分するよう求めたが、医療機関側からは難しいとの声もあり、実現に向けた政府の支援も急がれる。

 

大勢で宴会 できれば避ける

 日常生活ではどんな点に注意すれば良いか。基本方針は、閉鎖空間で多くの人と対面で会話する機会は感染を広げるリスクがあるとし、こまめに手を洗うことがポイントとして強調した。

 屋内で大人数が集まるイベントや会議は避けた方がよく、在宅勤務の推進などを呼びかけた。すでにオンライン会議の活用を始めた企業も出てきている。

 ほかの人に感染を広げないための対策として、ハンカチなどで口を押さえるなど「せきエチケット」の徹底も求めた。風邪の症状が出ている中で、やむを得ず外出する場合は、マスクの着用を呼びかけた。

 基本方針の発表に先だち、専門家会議は、感染経路について見解を示した。

 今のところ、ウイルスが環境中に拡散して感染が広がる「空気感染」は起きていないと考えられ、感染した人のせきやくしゃみからうつる「飛沫ひまつ感染」、ウイルスが付着したものに触れて感染する「接触感染」が原因と指摘した。

 最も注意すべき環境条件は、互いに手を伸ばして届くような距離で向き合い、一定時間以上の会話を、大勢の人と交わすこと。その具体例として、大人数が参加するような立食パーティーや宴会などを挙げた。

 年度末に向けて、これから多くの会社で人事異動に伴う歓送迎会や懇親会が増える。専門家会議副座長の尾身茂・元世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局長は「親睦は大事だが、飲み会はよほど重要でなければやめた方がいい」と勧める。

 また、電車での通勤や通学の際の注意点についても言及。混んでいる時間を避けることを推奨した。専門家会議委員の岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「会社や学校で手洗いをすることでリスクを減らせる」と説明する。

 一方、過度に警戒する必要はないとの認識も示した。尾身氏は「街中を歩いていて感染することはほとんど考えられない」と話す。屋外のイベントへの参加に、警戒を強めすぎる必要はないという。

 

階段上り下り 家で運動…肉や青魚 免疫力アップ

 新型コロナウイルスの感染を予防するため、日常の行動を制限するとストレスが増える。これまで以上に健康維持のための心がけが大切だ。

 「家にこもって動かないでいると、筋肉の量が減ってますます動けなくなり、悪循環に陥る」

 安保あぼ雅博・東京慈恵会医科大教授(リハビリテーション医学)は、特に高齢者への悪影響を懸念する。

 体を動かさないことで血行が悪くなり、心臓機能の低下などを招く恐れもあるという。

 対策として、スクワットや階段の上り下りなど、家の中でもできる運動やストレッチを勧める。ウォーキングの習慣がある人は、できればマスクを着けて、人混みを避け、これまで通り続けてもよいとする。

 栄養面にも気を配ることが大切だ。東口ひがしぐち高志・藤田医科大教授(代謝・栄養学)は「肉や大豆製品、卵などに含まれるたんぱく質と、青魚に含まれる不飽和脂肪酸は免疫力を高める」と説明する。

 ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を意識して取り入れ、バランスの良い食事を取ることが感染予防につながる。

 

確かな情報 不安を解消

 一方、体の不調はなくても、不安が募る人はいるだろう。精神科医で渡航医学にも詳しい勝田吉彰・関西福祉大教授は、「情報があいまいだと、うわさが広まりやすくなり、不安も高まる。国や自治体などが、きめ細かい情報を早く届け、かかりつけ医らも、不安に寄り添うことが求められる」と指摘する。

 

専門家会議の見解要旨

専門家会議の見解を発表する尾身茂副座長(中央)ら(24日夜、厚生労働省で)
専門家会議の見解を発表する尾身茂副座長(中央)ら(24日夜、厚生労働省で)

 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(座長=脇田隆字<たかじ>・国立感染症研究所長)が、24日に公表した見解の要旨は次の通り。

 我々は、感染の完全な防御が極めて難しいウイルスと闘っている。これから1~2週間が急速に広がるか、収束できるかの瀬戸際になる。今後の最大の目標は、感染拡大のスピードを抑制し、可能な限り重症者の発生と死亡数を減らすことだ。

 感染した人はほとんどが無症状か軽症だ。無症状や軽症の人でも他人に感染を広げる例があり、対応は極めて難しい。

 首都圏を中心とした医療機関の多くの感染症病床は、クルーズ船の対応で利用されている。感染を心配した多くの人が医療機関に殺到すると、医療提供体制がさらに混乱する恐れがある。医療機関が感染を拡大させる場所になりかねない。

 国民がそれぞれできることを実践しなければならない。風邪や発熱などの軽い症状が出た場合には外出せず、自宅で療養する。ただ、風邪や37・5度以上の発熱が4日以上続くなどの場合は、「帰国者・接触者相談センター」に相談する。事業者も、集会や行事の開催方法の変更、移動方法の分散などのできうる限りの工夫を講じるなど、協力してほしい。

 【随時更新】新型コロナ、今なにをすべきか~正しい情報で正しい行動を

無断転載禁止
1072319 0 解説 2020/02/26 05:00:00 2020/03/09 12:06:14 2020/03/09 12:06:14 パッドを使って患者と話す山下巌院長(東京都豊島区の山下診療所大塚で) https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/02/20200225-OYT8I50090-T.jpg?type=thumbnail

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