終わらぬ夏<番外編>不条理伝える「静かな怒り」…歴史家、東京大空襲・戦災資料センター館長 吉田裕さん(65)

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 アジア太平洋戦争を兵士目線で描いた近著「日本軍兵士」(中公新書)がロングセラーを続けている歴史家吉田裕さん。今春、一橋大学を退職し、東京大空襲・戦災資料センター館長に就いている。戦場の現実を見極める努力を長年続けてきた吉田さんに戦後75年を巡る考えを語ってもらった。(編集委員 鶴原徹也)

「ここには院生の時から40年余り通っています。後ろは付属図書館のある時計台棟。戦争末期に米軍機による機銃掃射を受けています」(東京都国立市の一橋大学西キャンパスで)=鈴木竜三撮影
「ここには院生の時から40年余り通っています。後ろは付属図書館のある時計台棟。戦争末期に米軍機による機銃掃射を受けています」(東京都国立市の一橋大学西キャンパスで)=鈴木竜三撮影

相次いだ凄惨な死 統帥権独立の失敗

 戦場 アジア太平洋戦争の日本の戦没者は政府の推計で、軍人軍属約230万人、民間人約80万人です。

 戦没者を網羅した公文書も死因を巡る公式統計もありません。1945年夏の敗戦時、軍も官も大量の公文書を焼却しました。

 戦場の実相が本格的に解明されるのは90年代以降。歴史家らが戦記や部隊史、将兵の回想などを渉猟し、研究を重ねた成果です。

 その特徴の第一は餓死の異様な多さです。

 私の恩師藤原彰先生は亡くなる2年前、2001年刊行の「餓死うえじにした英霊たち」で、軍人軍属の戦没者の61%、約140万人が餓死、あるいは栄養失調に起因する病死、つまり広義の餓死と説きました。歴史家の秦郁彦氏は藤原説を過大としつつ、餓死率を37%と推定。「それにしても、内外の戦史に類を見ない異常な高率」と論じています。

残り:2170文字/全文:2671文字
読者会員限定記事です
新規登録ですぐ読む(読売新聞ご購読の方)
無断転載・複製を禁じます
1425934 0 解説 2020/08/22 05:00:00 2020/08/22 06:45:19 2020/08/22 06:45:19 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200821-OYT8I50062-T.jpg?type=thumbnail

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

新着クーポン

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ