[「読む」は今]電子出版:デジタル教科書 学校へ…植村八潮

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 出版科学研究所が発表した2018年の電子出版物の販売金額は、前年比11・9%増の2479億円。減り続けている紙の出版物と比べると好調ですが、出版界全体の売り上げのピークだった1996年の2兆6500億円と比べ、現在は紙と電子を足しても1兆5400億円で、6割弱にしかすぎない規模となっています。

 でもこの状況は、世の中から出版物が不要になったことを示しているわけではありません。もっと電子書籍の特長をかし、紙の出版物を補って必要なところに届くようになれば、改善されるはずです。

 電子書籍の活用先として最も期待されるのは、教育の分野です。音声や動画を生かした語学学習用の教材は、すでに普及が始まっています。また、紙の本を持つのが難しい肢体障害者や視覚障害者、紙に書かれた文字を読むことが困難な人(ディスレクシア)にとっても、電子書籍は朗報です。

 電子書籍の音声読み上げや文字の拡大・色の変更といった機能が読書の手助けになるためです。視覚障害者らが読書を楽しめるように、国などの役割を定めた「読書バリアフリー法」の制定を求める動きも現在、進んでいます。

 学校教育の現場でも、電子書籍の機能が有効に活用できるはずです。昨年の学校教育法などの改正により、この春から紙の教科書と同じ内容のデジタル教科書が、教科書として併用できるようになります。

 併用としたのは、学習環境を一足飛びに「デジタルオンリー」とするには環境が整っておらず、子供たちへの影響も未知で不安な面もあるからでしょう。この点については、文部科学省からガイドラインが公表され、目の疲れなど健康面に配慮して、使用時間を各教科とも授業の2分の1未満としました。

 ただし、先に述べたような紙の教科書を使用しての学習が困難な児童生徒は、デジタル教科書だけを使用することができます。電子書籍を利用できなければ不便な人には積極的に活用できるようにし、一般向けにはデジタルの不安を取り除きながら一歩一歩進んでいる状況です。(専修大教授・出版学)

472730 1 エンタメ・文化 2019/03/05 05:00:00 2019/03/05 05:00:00 2019/03/05 05:00:00

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